デザイナーを調べる中で出てくる、WEBデザイナーやUI・UXデザイナーという言葉。
なんとなく違いがあるのはわかるけれど、結局何が違うのかしっかり把握しておきたいという方も多いと思います。
そこで、この記事では、WEBデザイナー、UIデザイナー、そしてUXデザイナーの違いについて下記のようにさまざまな面から比較します。
- 仕事内容
- 求められるスキルや知識
- 平均年収
- 求人数と将来性
- 向いている人の特徴
WEB業界でデザイナーをやりたいものの、どのような仕事があるのか知りたい、あるいは自分はどのようなデザイン職に向いているのか知りたいと考えている人はぜひ読んでください。
読み終わる頃には、自分に向いているデザイン職が分かるとともに、将来のキャリアパスもより具体的に思い描けるようになるでしょう。
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WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの違い一覧
下記の表はWEBデザイナーとUI・UXデザイナーのそれぞれの特徴を表にまとめたものです。
WEBデザイナー | UIデザイナー | UXデザイナー | |
役割 | サイトの見た目を整えてクライアントが抱える課題を解決すること | ユーザーにとって快適な機能や画面の切り替えを画面上で実現すること | ユーザーにとって快適な機能や体験をもたらすための画面切り替えの設計をすること |
仕事 | ・デザインテーマの決定 ・画像の配置やサイズの決定 ・配色と字体の選定 ・画像とアイコンの選択 ・レスポンシブの作成 ・デザインのWEBサイトへの組み込み | ・UI要素のデザイン ・サイトやアプリの設計 ・デザインルールの作成 ・使いやすさや機能性の向上 ・デザインをWEBサイトに組み込むためのサポート | ・UXリサーチの実施 ・デザインの枠組の作成 ・複数のデザインの効果測定 ・商品を購入するまでの過程作成 |
スキル・知識 | ・SEOの知識 ・デザインの知識 ・ツールの操作スキル ・コミュニケーション能力 ・コーディングの基礎知識 | ・ツールの操作スキル ・プログラミングの知識 ・コミュニケーション能力 ・ユーザー目線で物事を見る力 | ・コミュニケーション力 ・デザインツールの知識 ・ペルソナを設計する力 ・レゼンテーション能力 ・枠組や試作品を作成するスキル |
平均年収 | およそ340万円 | およそ600万円 | およそ640万円 |
求人数 | ◎ | △ | △ |
将来性 | ◯ | ◎ | ◎ |
向いている人 | ・WEB制作に関わりたい人 ・アニメーションが好きな人 ・美しいサイトを作りたい人 ・コミュニケーションが得意な人 | ・機能美を追求したい人 ・リサーチや改善が得意な人 ・話を聞くことが好きな人 ・サイトの課題解決をしたい人 | ・トレンドに敏感な人 ・情報解析や数字に強い人 ・マーケティングに強い人 ・周囲を巻き込む力がある人 ・ユーザー心理を理解できる人 |
次章以降で、それぞれの仕事の仕事内容や、求められるスキル・知識、そして平均年収など詳しく説明します。
WEBデザインとUI・UXデザインの違い
まずは、WEBデザインとUI・UXデザインの違いについて説明します。
これらはそれぞれ「デザイン」という点では似ていますが、デザインするものやデザインする際に意識することが異なります。
そのため、仕事内容や求められるスキルや知識もそれぞれ異なるのです。
まずは、それぞれのデザインの違いについてしっかりと理解を深めましょう。
WEBデザインとは
WEBデザインとは、
- 配置
- 色彩
- フォント(字体)
- 画像
- アイコン(記号・絵文字)
などWEBサイト上にあるあらゆるものを見た目の美しさを整えてユーザーが快適に使えるようにデザインすることです。
ユーザーの視点に立つことよりも、クライアントが抱えている課題を解決することやブランドのイメージに合わせたデザインをすることに重きがおかれます。
UIデザインとは
UIとは”User Interface”の略で、「ユーザーと商品・サービスのすべての接点」、つまり「WEBサイトやアプリの見た目に関するすべての情報」のことを指します。
UIデザインとは、下記のようにWEBサイト上のユーザーが直接触れる部分をデザインすることです。
- ボタン
- ナビゲーションバー(「戻る」や「ホーム」などボタンが配置されたバー)
- アイコン(記号・絵文字)
- 入力フォーム
- ログイン画面
WEBデザインが「見た目の美しさ」を追求するのに対して、UIはユーザーが快適にWEBサイトやアプリケーションを使うための「機能美」を追求する点が特徴です。
以前はUIデザインの仕事をWEBデザイナーが担っていましたが、近年UIに対する需要が高まっていることから、「UIデザイナー」という専門職として独立するようになりました。
UXデザインとは
UXとは”User Experience”の略で、「ユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験」のことを指します。
つまり、UXデザインとは製品・サービスを利用する際に、ユーザーにとって最適な体験を提供できるように設計することです。
UXデザインには下記の要素が含まれます。
- 使いやすさ・使い勝手
- 品質
- 使い心地
- 感動
- 印象
- 機能性
UIとUXの違いが分からないという人がいますが、それぞれの違いを簡単にまとめると下記の通りです。
意味 | 製品・サービスで該当する部分 | |
UIデザイン | ユーザーと製品・サービスを結びつける接点 | 見た目 |
UXデザイン | 製品・サービスを通じて得られた体験全体 | 中身を含めた全体 |
UIデザインは製品・サービスの「見た目」、UXデザインは製品・サービスの「中身を含めた全体」であることから、UIデザインはUXデザインの一部です。
それぞれの仕事は重複するところがあります。
そして、UIデザインが優れているからといってUXデザインが優れていることにはならないので注意しましょう。
見た目が優れていてもユーザーの体験全体を考えられた製品やサービスでない場合は、ユーザーに優れた体験をもたらすことができないからです。
優れたUXデザインをするためにはターゲットとなる利用者が求めていることを的確に掴むことが求められます。
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの仕事内容の違い
WEBデザインとUI・UXデザインの違いについて説明しました。
それぞれデザインするものや目的が異なることから、仕事内容が異なります。
ここでは、それぞれのデザイナーの仕事内容について解説します。
それぞれの仕事内容を理解しておくことで、実際に就職・転職した際に「イメージとは違う」「こんなはずではなかった」とミスマッチすることを防ぐことにつながるため、ぜひ読んでください。
WEBデザイナーの仕事内容
WEBデザイナーはWEBサイト全体のデザインに関わり、クライアント「らしさ」を表現して彼らが抱える課題を解決するなど「クライアント中心」のデザインをすることが求められます。
WEBデザイン、UIデザイン、UXデザインの中で最も基礎的な位置付けにある職種です。
業務範囲は企業によって異なりますが、一般的には下記の通りです。
仕事内容 | 仕事の詳細 |
デザインコンセプトの提案 | WEBサイトの目的、利用対象となるユーザー、企業のイメージに見合ったデザインをクライアントに提案する |
レイアウトを決める | 利用者にとって使いやすいページの構成や要素の配置を決定する例)ボタンやメニューバーの配置 |
配色とフォントの選定 | 読みやすさや企業のイメージにあった色や字体を選定する |
画像やアイコンの選択 | 目的に合った画像やアイコン(記号・絵文字)を選び、サイトを訪れた人の満足度向上を目指す |
レスポンシブデザイン | PC、スマホ、タブレットなどさまざまな媒体に対応できるデザインをする |
デザインの実装 | デザインツールを使いながらWEBサイトのデザインを組み込んで、開発者とともに実際のWEBサイトを作り上げる |
UIデザイナーの仕事内容
UIデザイナーはWEBデザイナーとは異なり、クライアントよりもユーザーの視線に立って、ユーザーにとって分かりやすくて操作しやすいデザインを考えることが仕事です。
上述しましたが、本来WEBデザイナーが行なっていた仕事であるため、WEBデザイナーの仕事内容と重複する部分があります。
業務範囲は企業によって異なりますが、主に下記の通りです。
仕事内容 | 仕事の詳細 |
UI要素のデザイン | 利用者が直接操作する「戻る」や「ホーム」といったボタンや記号や絵文字といったアイコンなどのUIの要素をデザインする |
サイトやアプの設計 | 利用者にとって「見やすくて」「分かりやすい」WEBサイトやアプリケーションを作り上げるために、ボタンやデザインの配置を工夫したり、誰が見ても意味が分かるアイコンを設置する |
ユーザビリティの向上 | 使いやすさの検証テストや顧客からのフィードバックをもとに、利用者にとってより使いやすいデザインを作り上げる |
スタイルガイドの作成 | スタイルガイドとは、配色、字体、アイコンの使用方法やボタンの形などのルールが記載されているもの。これによってデザインに統一感を持たせることができる。 |
デザインをサイトに組み込むサポート | さまざまなツールを使って開発者とともにデザインを実際のWEBサイトに組み込むためのサポートを行う |
UXデザイナーの仕事内容
UXデザイナーは、利用者の立場に立ってWEBサイトやアプリケーションの画面デザインを設計します。
UXデザイナーの仕事内容は、UIデザイナーやWEBディレクターが行う仕事と重複する部分がある点が特徴です。
業務範囲は企業によって異なりますが、主に下記の業務を担当します。
仕事内容 | 仕事の詳細 |
カスタマージャーニーマップの作成 | WEBサイトの目的・ゴール・ターゲットとなるペルソナ(具体的な利用者像のこと)を設定して、UXデザインにおける5つの段階(検討前・閲覧・登録・行動・体験)の中で想定されるユーザーの行動や感情を考察する |
UXリサーチの実施 | アンケートやインタビューを行うことで、ユーザーの現状や既に抱えているニーズ、言語化されていないニーズを探る |
ABテストの実施 | ABテストとはいくつかのWEBサイトのパターンを準備してどのパターンが最も効果的であるのかを検証するためのテストのこと。商品の購入や申し込みの数、クリック率などで比較する。 |
ワイヤーフレームの作成 | ワイヤーフレームはWEBサイト構築の枠組となるもので、実際にユーザーに求められる機能の試作品であるプロトタイプを作成し、改良を重ねていく |
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WEBデザイナーとUI・UXデザイナーに求められるスキル・知識の違い
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーそれぞれの仕事の内容について紹介しましたが、それぞれ仕事の内容が異なることが分かってもらえましたか?
一部重複するスキルや知識も求められますが、基本的にはそれぞれ仕事の内容が異なるため求められるスキルや知識に違いもあります。
ここでは、WEBデザイナーとUI・UXデザイナーに求められるスキル・知識の違いについて解説します。
WEBデザイナーに求められるスキルと知識
WEBデザイナーに求められるスキルや知識は下記の通りです。
- デザインに関する知識
- デザインツールを使いこなせるスキル
- SEOやマーケティングに関する知識
- 高いコミュニケーション能力
- コーディングの基礎知識
ここでは、それぞれのスキルや知識について詳しく説明します。
デザインに関する知識
WEBデザイナーとして魅力的かつ、使いやすくて分かりやすいWEBサイトを制作するためには配色や字体などのデザインに関する知識が必要不可欠です。
また、WEBデザインにはトレンドがあり、ファッションと同じようにどんどん変化していきます。
日頃からさまざまなWEBサイトを観察して、最新のトレンドやデザインについて押さえておくことが大切です。
最新のトレンドやテクニックを身につけておけば、クライアントの課題や要望に対応できるようになるでしょう。
デザインツールを使いこなせるスキル
下記はWEBデザインに役立つツールをまとめた表です。
ツール名 | ツールの用途や特徴 |
Photoshop | 写真や画像の編集をする際に使用する |
Illustrator | イラスト作成に使用する |
Adobe Dreamweaver | WEB制作に特化したツール |
Adobe XD | プロトタイピング(試作品)を素早く作成できるツール |
さまざまなデザインツールがありますが、最低でもPhotoshopとIllustratorを使いこなせるようにしておきましょう。
これらは多くのWEB制作会社で標準ソフトとして採用されているからです。
余力があればAdobe DreamweaverやAdobe XDなども使いこなせると仕事の幅が広がります。
SEOやマーケティングに関する知識
デザインの知識だけでなく、SEO(“Search Engine Optimization”の略で「検索エンジン最適化」を意味する。WEBサイトや記事を検索時に上位に表示させるためのテクニックのことを指す。)やマーケティングに関する知識があると仕事の幅が広がるでしょう。
高いコミュニケーション能力
WEBデザイナーは、クライアントだけでなく、コーダーや開発者などさまざまな人と協働して仕事をすることになるため高いコミュニケーション能力が求められます。
また、ときにはプレゼンテーションを任されることもあるため、論理的かつ相手の心を動かせるような話し方のスキルがあると尚望ましいです。
コーディングの基礎知識
コーディングとは、制作したデザインデータをインターネット上で見えるようにすることです。
以前のWEBデザイナーは、デザインとコーディングの両方ができることが求められていました。
現在ではデザイナーとコーダーが分業している企業も多いので必ずしもコーディングスキルは必要がありませんが、下記のコーディングの基礎知識があると他のWEBデザイナーと差別化することができ、さらに仕事の幅も広がるでしょう。
プログラミング言語の種類 | 特徴 |
HTML | 多くのWEBブラウザで使用されている基礎的な言語 |
CSS | WEBページを構成する文書の装飾を施す言語でHTMLとセットで活用する。背景の色や文字の大きさ、配置などを指定できる。 |
JavaScript | WEBページに組み込まれたプログラムを実行することができる言語。HTMLと併用することが多く、JavaScriptを使うことで動きのあるWEBサイトが制作できる。 |
PHP | 動きのあるWEBページを制作するのに使用される言語。他の言語と比較すると使用や文法が簡単で習得しやすい。 |
コーディングは基礎を理解していれば十分で、デザイナーが実際にコーディングをすることはあまりないため安心してください。
UIデザイナーに求められるスキルと知識
UIデザイナーに求められるスキルと知識は下記の通りです。
- デザインツールを使いこなすスキル
- ユーザー目線から物事を客観的に見るスキル
- 基本的なプログラミングの知識
- 高いコミュニケーション能力
ここではそれぞれのスキルと知識について詳しく解説します。
デザインツールを使いこなすスキル
UIデザイナーがよく使うデザインツールは下記の通りです。
ツール名 | 特徴 |
Photoshop | 写真や画像の編集をする際に使用する |
Illustrator | イラスト作成に使用する |
Sketch | UIデザイン設計・企画書作成・プレゼンテーション作成に役立つツール |
WEBデザイナーが使いこなせるべきツールと重複するものがあります。
上記のツールの中から最低1つは使いこなせるようにすることが望ましいです。
ユーザー目線から物事を客観的に見るスキル
UIデザインを作成する際には、ユーザー目線に立って分かりやすさや使いやすさを追求するスキルが必要不可欠です。
どれだけデザインスキルに優れていても、独りよがりでユーザーの目を意識しないデザインは使い勝手が悪くなってしまい、結果としてUXも低下させることにつながってしまうでしょう。
基本的なプログラミングの知識
UIデザイナーはエンジニアと協働して作業を進めることが多いです。
そのためHTMLやCSSなどのプログラミング言語の知識があるとエンジニアとのコミュニケーションがスムーズになり、エンジニアの技術的な制約を理解した上でデザインのアイディアを出すことができます。
高いコミュニケーション能力
WEBサイトやアプリケーションを開発する現場にはさまざまな職種の人が協働しています。
彼らとスムーズにプロジェクトを進めていくためにはコミュニケーション能力が必要不可欠です。
また、UIデザインを設計するためには、ユーザーの視点になることが必要になることから、自分の考えだけでデザインを決定するのではなくさまざまな立場や観点からの意見を取り入れることも求められます。
相手の意見や考えを聞き入れる傾聴力が必要です。
UXデザイナーに求められるスキルと知識
UXデザイナーに求められるスキルと知識は下記の通りです。
- ワイヤーフレームやプロトタイプを作成するスキル
- 高いビジュアルコミュニケーション能力
- デザインツールの知識
- ターゲットユーザーを見極めてペルソナ設計する力
- クライアントの心を動かすプレゼンテーション能力
それぞれのスキルと知識について解説します。
ワイヤーフレームやプロトタイプを作成するスキル
UXデザイナーはWEBサイトやアプリケーションのデザインをする前に、ワイヤーフレームやプロトタイプを作成することが必要です。
ワイヤーフレームはシンプルな線画を用いてWEBサイトに入れるボタンや画像などの配置を表現したもので、プロトタイプとは実際のユーザーの体験を仮想的に再現したものを指します。
ワイヤーフレームやプロトタイプを作成すると、デザインの構想や改善を他者に共有しやすくなるだけでなく、早い段階でそのデザインが抱える問題や課題に気づくことができるため便利です。
詳細は後述しますが、ワイヤーフレームやプロトタイプは専用のソフトウェアで作成するため、これらのソフトウェアを使いこなせることが求められます。
高いビジュアルコミュニケーション能力
UXデザイナーは視覚的な要素を活用しながらデザインコンセプトを伝えることが仕事であるため、高いビジュアルコミュニケーション能力が求められます。
創造力を駆使してデザインのアイディアを出し、他のチームメンバーやクライアントと密にコミュニケーションを図ることで、プロジェクトを円滑に進めることができるようになるでしょう。
デザインツールの知識
UXデザイナーもWEBデザイナーと同様にデザインツールに関する知識が必要ですが、使用するツールが下記のように異なります。
ツール名 | ツールの用途・特徴 |
Adobe XD | ワイヤーフレームやプロトタイプを作成するのに役立つツール。デザインも作成できる。 |
Sketch | UIデザイン設計・企画書作成・プレゼンテーション作成に役立つツール |
Figma | ブラウザ上で簡単にデザインができるツール。操作性と利便性が高い。 |
これらのデザインツールを使いこなせる知識が必要です。
ターゲットユーザーを見極めてペルソナ設計する力
UXデザイナーはユーザー体験の改善や向上を目指すため、ユーザーのニーズや行動パターンを正確に把握することが必要です。
そのためには、WEBサイトやアプリケーションのターゲットとなる利用者を見極めて主な利用者層の具体的なイメージを設計するための分析力が求められます。
クライアントの心を動かすプレゼンテーション能力
UXデザイナーは、自身が作成したデザインの意図や目的について分かりやすくクライアントに説明して、彼らの心を動かすことができるプレゼンテーション能力が必要です。
また、企画の意図が周囲に伝わることで、チームメンバーを動かしやすくなるというメリットもあります。
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの年収の違い
次にそれぞれのデザイナー職の年収について比較しましょう。
WEBデザイナーの平均年収
求人ボックスによると、WEBデザイナーの平均年収はおよそ340万円です。
日本人の平均年収は443万円となっており(国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」)、WEBデザイナーの平均年収は低いことが分かります。
ただし、全体的に低いわけではありません。駆け出しの頃が低いので、平均年収が低く出ていますが、経験とスキルを積み重ねたWEBデザイナーは日本人の平均年収を大きく超えてきます。
UIデザイナーの平均年収
求人ボックスによると、UIデザイナーの平均年収は594万円となっており、日本人全体の平均年収よりも高いことが分かります。
WEBデザイナーの年収と大きな開きがある理由としては、WEBデザイナー以上に求められるスキルやテクニックのレベルが高いからです。
UXデザイナーの平均年収
求人ボックスによると、UXデザイナーの平均年収は639万円となっており、デザイン職の中でもかなり高いです。
しかし、上述したようにUXデザイナーの仕事は「デザイン」よりも「設計」に重きが置かれています。
また、下記のような違いによって年収にはかなりの差があるため注意が必要です。
- これまでのキャリア
- 実務経験
- 現場で求められるスキル
- 業務内容
高収入を目指すのであれば、UIデザインも担当できるUXデザイナーになることをおすすめします。
年収1,000万円も夢ではないでしょう。
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーそれぞれに向いている人の特徴の違い
次にWEBデザイナーとUI・UXデザイナーそれぞれに向いている人の特徴について解説します。
自分がどのデザイナーに向いているのか判断するための材料に活用してみてください。
WEBデザイナーに向いている人の特徴
WEBデザイナーに向いている人の特徴は下記の通りです。
- クリエイティブな素質がある
- 地道な作業が得意な人
- 向学心が強い人
- トレンドに敏感な人
まず、「ファッション」や「アート」などのデザインに興味がある人は向いています。その上でクリエイティブでオリジナリティのある作品を作れると尚望ましいでしょう。
また、WEBデザイナーは華やかなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は配色を考えたり字体を選んだりと地味で時間がかかる作業も少なくありません。
そのため、地味な作業をコツコツと頑張れる人に向いています。
「WEBデザイナー=華やか、派手」というイメージを持っている人は、WEBデザイナーになってから「こんなはずではなかった」と後悔することがないように、イメージを変えておくことがおすすめです。
また、新しいものを吸収する柔軟性も求められます。それはWEBデザインのためのツールやデザインのトレンドはどんどん変化していくからです。
UIデザイナーに向いている人の特徴
UIデザイナーに向いている人の特徴は下記の通りです。
- 論理的な思考力が高い人
- WEBサイトやアプリの課題を解決したい人
- 人の話を聞くことが好きな人
- リサーチや改善が得意な人
上記にもありますが、UIデザイナーは常に「利用者の視点」で考えることが必要です。
そのため、こだわりやスキルを活かしたデザインをするよりも、利用する人の気持ちに寄り添った機能的なデザインができる人が向いています。
また、「デザイナー=クリエイティブ=感覚派」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、UIデザイナーに関しては異なります。
データに基づいてWEBサイトやアプリの機能性について改善するため、「なぜこのように組み立てるのか」と論理的に説明できる必要があるからです。
そのためWEBデザイナー以上に論理的思考力が高い人の方が向いています。
UXデザイナーに向いている人の特徴
UXデザイナーに向いている人の特徴は下記の通りです。
- マーケティングに関する知識がある人
- 情報解析やリサーチなど数字に強い人
- ユーザーの心理や行動を理解できる人
- トレンドに敏感な人
- 周囲を巻き込む力を持っている人
UXデザイナーもUIデザイナーと同様に感覚的でクリエイティブなデザインをするのよりも、クライアントやユーザーが抱える課題を解決できるようなデザインをすることに重きが置かれています。
そして、そのようなデザインをするためにはデータやリサーチは欠かせません。
このような理由から、UXデザイナーは分析や数字が得意な人に向いています。
また、UXデザイナーの仕事はWEBディレクターの仕事と共通する点があり、WEBサイトやアプリケーションの制作で指揮官のような立場で仕事をすることもあります。
そのような場合、クライアントだけでなく、プログラマーやWEBデザイナーなどさまざまな職種の人と共働してプロジェクトを進めることが必要です。
周囲を巻き込む力を持っている人の方が、円滑にプロジェクトを進められるでしょう。
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの求人数・将来性の違い
つづいて、WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの求人数と将来性について説明します。
就職・転職活動の際にぜひ参考にしてください。
WEBデザイナーの求人数・将来性
WEBデザイナーはWEBサイトに関するデザインを行う仕事です。
つまり、WEBデザイナーの求人数や将来性はWEBサービスの普及やWEB業界の発展次第であると言い換えられます。
2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によるとIT人材に対するニーズは今後ますます高まり、2030年には45万人不足すると言われているほどです。
つまり、WEBデザイナーは飽和するどころか不足するため、将来性が高い仕事であると言えます。
つづいて、WEBデザイナーの求人数について解説します。
下記の表は求人ボックスが発表した「WEBデザイナーの求人件数の推移」を表したものですが、正社員の求人数は昨年度よりも右肩上がりであることがわかるでしょう。
出典:求人ボックス「Webデザイナーの仕事の年収・時給・給料」
また、求人サイトのdodaが発表している求人数のトレンド予測においても、2023年下半期はWEBデザイナーを始めとするクリエイティブ職の求人数の増加が見込まれていることからも、WEBデザイナーの仕事は将来性が高いと言えます。
UIデザイナーの求人数・将来性
UIデザイナーはWEBデザイナーと比較すると新しい職種で、まだ認知度が低いため求人数はかなり少ないです。
そして、「UIデザイナー=WEBデザインもUIデザインもどちらもできる人」という認識を持たれていることが一般的であるため、WEBデザイナーとして経験を積んでから応募することが望ましいと言えます。
App Annieによると、今後はアプリケーション市場が急成長を遂げることが予想されるようです。アプリケーションのデザインができるUIデザイナーになれば、将来性が高いでしょう。
UXデザイナーの求人数・将来性
UXデザイナーもUIデザイナーと同様、比較的新しい職種であるため、WEBデザイナーと比較すると求人数はまだまだ少ないです。
しかし、転職・求人サイトのdodaは、2019年1月から2022年9月までのわずか3年半の間に「UX人材」関連の求人数が下記のように5倍近く増加したと発表しました。
出典:doda「デザインだけじゃない!今、重要なUXについての求人特集」
「顧客体験」がサービスや製品の価値を決めるような時代になったことからも、今後ますますUX人材に対する需要が高まるでしょう。
また、近年UXはWEBサイトやアプリケーションだけにとどまらず、家電などの製品やサービスにおいてもニーズが高まっています。
つまり、UXデザイナーが活躍できる場は今後ますます広がっていくことが期待されるということです。
しかし、UIデザイナーとUXデザイナーは仕事が重複する部分も多いため、「UI/UXデザイナー」として求人が出されることがあります。
WEBデザイナーとUIデザイナー、UXデザイナーを1人で担当することも少なくありません。
マルチなスキルや知識を持っていることが求められる可能性があるため、注意してください。
WEBデザイナー / UI・UXデザイナーになるための方法
WEBデザイナー あるいは UI・UXデザイナーになるための方法は主に下記の3つです。
- 専門学校に通ってスキルを身につける
- デザインスクールに通ってスキルを身につける
- 独学でスキルを身につける
ここでは、それぞれの方法の特徴とメリット・デメリットについて紹介します。
自分に合った方法を選んでデザインについての学習を進めてください。
専門学校に通ってスキルを身につける
専門学校とは学校教育法で定められた「専修学校」に該当するタイプの学校です。
つまり「認可校」という扱いを受けるため、学割や奨学金の申し込みの対象になり、卒業できると履歴書に学歴として記載することができます。
1〜3年ほど昼間に通うことが必要です。
専門学校に通うことのメリットとデメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・挫折しづらい ・濃い人脈を築ける ・学歴として認められる ・毎日同じ仲間と過ごせる ・学割制度や奨学金を受けられる ・カリキュラムがゆったりとしている ・専門分野以外の知識も身につけられる ・デザイン史やデッサンなどデザインに関することが広く深く学べる | ・時間とコストがかかる ・講師によって当たり外れがある ・通学に時間とコストがかかるため面倒である |
高校卒業後に進学をしてデザインを学びたいという人に専門学校に行くことをおすすめします。
デザインスクールに通ってスキルを身につける
デザインスクールは専門学校とは異なり「認可校」ではないため、卒業しても学歴にはなりません。
そして、受講期間も数ヶ月程度であることが多く、専門学校より在籍期間が短いです。
このようなことから仕事あるいは家事・育児と勉強を両立させたいという社会人や主婦の方にデザインスクールに通うことをおすすめします。
デザインスクールに通うことのメリットとデメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・コースが多彩である ・専門学校よりも学費が安い ・卒業後にすぐに仕事を獲得しやすい ・仕事や家事、育児と両立させやすい ・就職、転職のサポートを受けられる | ・学歴とは認められない ・講師によって当たり外れがある |
独学でスキルを身につける
独学はその名の通り、自宅やカフェなど好きな場所で自分のペースで学習するスタイルのことを指します。
コストを抑えてデザインの勉強をしたい人、焦らずにじっくりと腰を据えてデザインについて学びたい人におすすめです。
独学で学ぶことのメリットとデメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・コストを抑えられる ・自分のペースで学習を進められる ・生活に合わせた学習計画を立てられる | ・挫折しやすい ・時間がかかる ・人脈を築くのが難しい ・就職や転職のサポートを受けられない |
WEB系のデザイナーになりたい人からよくある質問
最後にWEB系デザイナーになりたい人からよくある質問とその回答を紹介します。
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーのどちらを目指すべき?
この記事でも紹介しましたが、WEBデザイナーとUI・UXデザイナーは仕事内容、求められるスキル・知識、向いている人の特徴がそれぞれ異なります。
自分の適性や興味に合わせて選ぶと良いですが、まずはWEBデザイナーになってからUI・UXデザイナーに転向することがおすすめです。
その理由は2つあります。
UI・UXデザインは「機能美」を追求する仕事ですが、ある程度の「装飾美」も求められることから、WEBデザインの知識も必要になることが多いです。
また、上記にもありますが、それぞれのデザイナーを比較すると圧倒的にWEBデザイナーの求人数が多いため、仕事を獲得しやすいという特徴もあります。
WEBデザイナーやUI・UXデザイナーになるのに資格は必要?
WEBデザイナーやUI・UXデザイナーになるために資格は不要です。
しかし、下記のような資格を取得しておくことで、仕事の役立つ知識やスキルを体系的に学んで身につけることができるでしょう。
資格名 | 資格の特徴・目的 |
Webクリエイター能力認定試験 | WEBデザインやWEB制作に関するスキルを問う試験で、HTMLやCSSなどプログラミング言語に関する知識も求められる。 |
ウェブデザイン技能検定 | WEBサイト制作に必要なWEBデザインやシステム構築などの知識・技能・実務能力を問う試験。デザインの質を向上させるのに役立つ。 |
Illustratorクリエイター能力認定試験 | Adobe Illustratorのスキルを評価する資格試験。 |
Photoshopクリエイター能力試験 | Adobe Photoshopのスキルを評価する資格試験。 |
人間中心設計(HCD)専門家制度 | 製品やサービスの設計・開発における使いやすさやUXデザインなどの知識を問う資格試験。 |
ユニバーサルデザインコーディネーター | この資格を取得するとユニバーサル・デザインを実現するために必要な知識を身につけることができる。 |
WEBデザイナーとUI・UXデザイナーの違いを知って自分に合うほうを選ぼう!
この記事では、WEBデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナーについてさまざまな観点から比較しました。
下記はその比較を一覧表にしたものです。
WEBデザイナー | UIデザイナー | UXデザイナー | |
役割 | サイトの見た目を整えてクライアントが抱える課題を解決すること | ユーザーにとって快適な機能や画面の切り替えを画面上で実現すること | ユーザーにとって快適な機能や体験をもたらすための画面切り替えの設計をすること |
仕事 | ・デザインテーマの決定 ・画像の配置やサイズの決定 ・配色と字体の選定 ・画像とアイコンの選択 ・レスポンシブの作成 ・デザインのWEBサイトへの組み込み | ・UI要素のデザイン ・サイトやアプリの設計 ・デザインルールの作成 ・使いやすさや機能性の向上 ・デザインをWEBサイトに組み込むためのサポート | ・UXリサーチの実施 ・デザインの枠組の作成 ・複数のデザインの効果測定 ・商品を購入するまでの過程作成 |
スキル・知識 | ・SEOの知識 ・デザインの知識 ・ツールの操作スキル ・コミュニケーション能力 ・コーディングの基礎知識 | ・ツールの操作スキル ・プログラミングの知識 ・コミュニケーション能力 ・ユーザー目線で物事を見る力 | ・コミュニケーション力 ・デザインツールの知識 ・ペルソナを設計する力 ・レゼンテーション能力 ・枠組や試作品を作成するスキル |
平均年収 | およそ340万円 | およそ600万円 | およそ640万円 |
求人数 | ◎ | △ | △ |
将来性 | ◯ | ◎ | ◎ |
向いている人 | ・WEB制作に関わりたい人 ・アニメーションが好きな人 ・美しいサイトを作りたい人 ・コミュニケーションが得意な人 | ・機能美を追求したい人 ・リサーチや改善が得意な人 ・話を聞くことが好きな人 ・サイトの課題解決をしたい人 | ・トレンドに敏感な人 ・情報解析や数字に強い人 ・マーケティングに強い人 ・周囲を巻き込む力がある人 ・ユーザー心理を理解できる人 |
UIデザイナーとUXデザイナーは元々WEBデザイナーから派生した仕事であるため、それぞれ仕事の内容が重複する部分も多少ありますが、仕事内容や求められるスキルや知識は基本的には異なります。
この記事を参考にしながら、自分がどのデザイナー職を選ぶべきかもう一度考えてみましょう。
質問や感想があればご記入ください