
「いつか旅をしながら働けたら…」
そんな夢を抱いたこと、ありませんか?
今回お話を伺った高田優介さんは、中学校の教師という安定した職を辞めて、WEBデザイナーとして独立。現在は、紹介から多くの仕事を得ています。
でも、その道のりは決して平坦ではありませんでした。独立当初は月5万円程度の収入。それでも2年間諦めず、150人以上と直接会って関係性を築き、今では安定して月10万円、単発案件を含めると月20〜30万円を稼げるようになりました。
キャンプインストラクターをしながら、大学の集中講義のアシスタントもこなし、そしてWEBデザイナーとして活動する。複数の仕事を組み合わせた自由な働き方。
「日本一周して移住先を見つけ、家族全員が幸せになれるカフェを開く」という大きな夢に向かって、一歩一歩進んでいる高田さんの物語をお届けします。

久保なつ美
WEBデザイナー歴15年。29歳の時に「日本デザインスクール」を設立し、3000名以上の生徒を45日でプロのWEBデザイナーに育成。2024年に著書『根性なしがWEBデザイナーに憧れて(幻冬舎)』を出版
安定した教師を辞めて、旅をしながら働く人生を選んだ

高田さんは元々、中学校の先生をしていました。公務員という安定した職業です。
それなのに、なぜ辞めて独立する道を選んだのでしょうか?
「教師をやめた目的として、WEBデザイナーとして日本を一周しながら生活をするっていうことがあったんです」
夢は「日本一周して、家族のためのカフェを開くこと」
高田さんには、明確な夢がありました。
「日本一周する目的としては、移住先を見つけてカフェを開きたいっていうことを思い描いています」
そして、そのカフェには特別な想いが込められています。
母への恩返し
「私の家庭状況的に母子家庭で育ったんです。世話になってすごく手もかけてくれた母親に恩返ししたいということで、母親が料理を作るのが好きなんで、料理を振る舞える場所を作りたい」
妹への想い
「妹はダウン症っていう障害を持っているという状況で。おそらく自分より早く亡くなってしまう可能性がある妹に対して好きなことをさせてあげたいなっていうことで、そのカフェをアトリエ兼個展会場にしたい」
家族全員の幸せ
「ドッグランとかも作って妻含め家族全員が幸せにできる環境を作りたいです」
この夢を実現するために、場所に縛られない働き方が必要だった。だから、WEBデザイナーという道を選んだんです。
夏休みにスクール受講、そして独立へ

教師をしながら、どうやってWEBデザインを学んだのでしょうか?
なんと夏休みにデザスクを受講されて、そこからお仕事をやめてフリーランスに転進されていました。
夏休みの期間を使って集中的に学習。そして、安定を捨てて独立という大きな決断をしました。
周りからは反対されなかったんでしょうか?きっと「もったいない」「安定しているのに」という声もあったはずです。
でも、高田さんは夢の実現に向けてWEBデザイナーとして独立することを決めていました。
独立2年間、月5万円の時期も諦めなかった

独立後すぐに順調だったわけではありません。
「収入で言うと毎月お仕事いただいている状態だったら、安定して10万円弱いただいていて、それプラスで単発で例えば15万円のLPであったり、30万円のホームページとか…」
今でこそ安定月10万円に単発案件を加えて月20〜30万円程度になっていますが、最初の頃は月5万円程度だったそうです。
2年間諦めなかった理由
ー2年間、諦めないでいられたのはなぜですか?
「諦めなかった理由としては、そこでやめちゃうと教師をやめた目的としてWEBデザイナーとして日本を一周しながら生活をするっていうことが崩壊しそうだなって思ったんです」
「だったらあの時辞めなかったら良かったし、安定してるっていう職業でもあるので、過去の自分を否定しかねないことをするのは自分自身嫌だった」
「1回言ったことを無しにするっていうのは自分の中にはなかった」
夢を諦めることは、自分との約束を破ること。だから、どんなに収入が少なくても、続けることを選んだんです。
「本当にもう飢え死にするぐらいのところまで行ったらちょっと状況は変わるかもしれないですけど、今はもがき続けるとかやり続けるっていうことが1番の成功への近道かなとも思うので」
現在の働き方:キャンプ × 大学 × WEBデザイン

現在の高田さんは、複数の仕事を組み合わせて生活しています。
「インストラクターと今月は大学の集中講義のアシスタントとか多岐に渡りながら、デザインは完全フリーランスで活動しています」
収入の内訳
| 固定収入 | 月10万円弱(継続案件) |
| 単発案件 | LP:15万円〜 ホームページ:30万円〜 名刺、バナー、チラシ など |
| 合計 | 月20〜30万円程度 |
| 固定収入 | 月10万円弱(継続案件) |
| 単発案件 | LP:15万円〜 ホームページ:30万円〜 名刺、バナー、チラシ など |
| 合計 | 月20〜30万円程度 |
制作物の種類
「ホームページとLP、あとバナーとかチラシ・リーフレット・名刺とか…色々やってますね」
旅をしながらでも制作できる、LP、バナー、チラシなどを中心に活動しているようです。
案件の95%が「紹介」、交流会ではなく直接会う戦略

高田さんの案件獲得方法で特筆すべきは、95%が紹介だということ。
ー紹介とかは交流会とかからお仕事もらうんですか?
「9割5分ぐらいご紹介で頂いていて。交流会に行ったことはあるんですけど、実際に物を作るっていうところまでは至らなくて。お仕事を得られるっていうんだったらご紹介の方が圧倒的に多いかなと思います」
2年間で150人と直接会った
ー累計で何人くらいと会ってきたんですか?
「150人ぐらいですかね」
2年間で150人。つまり、月平均6〜7人と新しく会っている計算になります。
「Zoomもほとんどなくって実際に会いに行って」
オンラインではなく、わざわざ直接会いに行く。この「手間をかける」ことが、信頼関係を築く秘訣だったんです。
「お客さんからしたら嬉しいですよね。やっぱり直接会う人に情が湧くというか関係性を築くのはやっぱり会う回数が多い人の方が全然早いと思うんですよね」
「紹介してください」を恥ずかしがらずに言えるようになった

紹介で案件を得るためには、当然「紹介してください」と伝える必要があります。でも、これが意外と難しい。
ー「紹介してください」ってドストレートに言えるってなかなか恥ずかしくて言えない人もいると思うんですけど。
「最初はめちゃくちゃ恥ずかしかったです。でもちょっとずつ言いやすい人というか距離の近い人からそういう練習をさせてもらって、本当に重ねるに連れて段々と心が軽い状態でお願いしやすくなっていった感じです」
最初は恥ずかしい。でも、練習を重ねることで慣れていく。そして今では自然に伝えられるようになったそうです。
自分も紹介する「ギブアンドテイク」
ー高田さんも紹介することも多いんですか?
「そうですね」
紹介してもらうだけでなく、自分も紹介する。この相互関係が、ネットワークを広げる秘訣なんですね。
紹介してもらえる人になるための「3つの秘訣」

では、どうすれば紹介してもらえる人になれるのでしょうか?高田さんが実践していることを聞きました。
①相手に興味を持つ、相手を好きになる
「相手に興味を持つ、相手を好きになることとか自分を好きになってもらうっていうことを意識して、その中でいろんなアクションを起こすっていうことを心がけています」
でも、最初からできていたわけではありません。
「僕は最初、相手に興味があんまり持てなかった人間なんです」
②「興味を持ってもらう」方法を研究した
どうすれば相手に興味を持ってもらえるのか。高田さんは研究したそうです。
ーどうやって勉強したんですか?
「知り合いの方と話す中で、これって興味持ってるってことだよねとか興味持ってないことだよねっていう議論をして、実践してみて今回めっちゃ紹介もらえたなとか今回もらえなかったなっていう、トライアンドエラーを繰り返して分かり始めつつあるっていう状況ですね」
本を読んで学ぶのではなく、実践とフィードバックを繰り返して身につけていったんですね。
③2回目で仲良くなる、深い質問をする
ーお客さんと距離は近いんですか?すぐ仲良くなれる感じですか?
「大体2回目ぐらいで仲良くなれたらいいなっていう気持ちではいて」
そして、踏み込んだ質問もします。
「1回目でこんなところまで聞いてもいいのかなっていう家庭環境のこととか、過去にどういうことがあって今に至るのかっていうのをちょっと恐れ多いながらも聞いてもいいですかって言いながら聞かせていただいたりとか…」
表面的な会話ではなく、相手の人生や夢に興味を持つ。それが関係性を深める秘訣なんですね。
150人と会って学んだこと、成長したこと

2年間で150人と会った高田さん。その経験から何を学んだのでしょうか?
「学んだことは、まず僕自身中学校の先生をしていて子供たちと話す機会ばっかりだったので、大人って本当めっちゃいろんなこと考えていてすごいなって」
「大体会った方には夢を聞かせていただいているんですけど、やっぱりその人その人のストーリーとかがあって、物語があって今に至るっていうのを聞かせていただけるのが、自分の人生だけじゃなくていろんな方の生い立ちとか夢とか含めいろんな人生を聞かせていただけるので、それがすごく学びになって」
自分自身の成長
ー自分の中で成長したのはどんなところですか?
「ちゃんと自分のことを話せるようになったりとか、相手について興味を持っていろんな質問をしながら、どんなところで悩んでいるんだろうとか、何が好きなんだろうとか、どんな時が楽しいんだろうっていうのを考えながら、コミュニケーション取れるようになったっていうところかなと思います」
奥さんからも「いい意味でかなり変わったね」と言われるそうです。
デザインも「楽しい」から続けられる

収入のためだけなら、もっと効率的な仕事もあるかもしれません。それでもWEBデザイナーを続けているのは、楽しいから。
ーデザインは好きですか?
「デザインは楽しいですね。元々存在しないものを目に見える形にするっていうことがやっぱり楽しいです。結構、自分の中で満たされる部分があるなと思ってます」
入門編の知識を駆使して制作
高田さんの作品は、メニューページ、LP、ホームページ、チラシなど多岐にわたります。
「チラシについては入門編の知識を駆使してつくっています」
スクールで学んだ基礎を現場で活かし続けているんですね。
「2年もやってたからね。ちゃんと実績を積み重ねて紹介で回るってことは、ちゃんと満足されないとそもそも紹介てもらえないですから」
営業では「夢」を語る、家族の物語を伝える

高田さんの営業スタイルは、少し変わっています。
「本当に日本一周したいっていうことをまず自分の夢としてお話ししています」
そして、なぜ日本一周をしたいのか、なぜカフェを開きたいのか。家族の物語を丁寧に伝えるそうです。
- 母子家庭で育ったこと
- 料理好きな母への恩返し
- ダウン症の妹に好きなことをさせてあげたいこと
- 家族全員が幸せになれる場所を作りたいこと
「じゃないとできないことだと思っているのでお願いしますってお話ししています」
自分の夢や想いを素直に伝える。それが、応援したいと思ってもらえる理由なんですね。
旅しながら働くために必要な「3つのこと」

高田さんの事例から、旅しながら働くために必要なことをまとめます。
①場所に縛られないスキル
WEBデザインは、パソコン1台あればどこでも仕事ができます。
- LP制作
- バナー制作
- チラシ・名刺デザイン
これらは旅先でも制作可能です。
②「人」とのつながり
オンラインだけで完結するのではなく、直接会って関係性を築く。
- 2年間で150人と会う
- Zoomではなく実際に会いに行く
- 相手の夢や人生に興味を持つ
- 「紹介してください」と素直に伝える
③明確な「夢」と「諦めない心」
月5万円の時期も諦めなかった理由は、明確な夢があったから。
「日本一周して、家族全員が幸せになれるカフェを開く」
この夢があるから、苦しい時期も乗り越えられました。
「諦めずに今全力でっていうのを繰り返していれば、いつか夢が叶ったりとか成功に近づいていくことがあると思います」
まとめ:旅しながら働く生活は「諦めない人」が手に入れる

高田さんの2年間の軌跡から見えてきた、旅しながら働くための道筋をまとめます。
高田さんのキャリア
| スタート | 中学校教師(安定職) |
| 決断 | 夏休みにWEBデザイン学習、独立 |
| 苦難 | 月5万円の時期、それでも諦めない |
| 行動 | 2年間で150人と直接会う |
| 現在 | 紹介で月20〜30万円、複数の仕事を組み合わせた自由な働き方 |
| スタート | 中学校教師(安定職) |
| 決断 | 夏休みにWEBデザイン学習、独立 |
| 苦難 | 月5万円の時期、それでも諦めない |
| 行動 | 2年間で150人と直接会う |
| 現在 | 紹介で月20〜30万円、複数の仕事を組み合わせた自由な働き方 |
成功の5つのポイント
- なぜ旅をしながら働きたいのか
- その先に何を実現したいのか
- WEBデザイン、ライティング、動画編集など
- パソコン1台でできる仕事
- オンラインだけでなく、実際に会う
- 相手の人生や夢に興味を持つ
- 表面的な会話ではなく、深い関係性を築く
- 最初は恥ずかしくても練習する
- 自分も紹介する「ギブアンドテイク」
- 月5万円でも続ける
- 夢を諦めることは、自分との約束を破ること
- 「やり続けることが成功への近道」
旅しながら働く人のためのチェックリスト

高田さんの経験をもとに、ノマドワークを実現するためのチェックリストを作りました。
- 場所に縛られないスキルを身につける(3〜6ヶ月)
- ポートフォリオを作成(5〜10作品)
- 初案件を獲得する経験
- 月5〜7人と新しく会う目標を立てる
- オンラインではなく、可能な限り直接会う
- 相手の夢や人生について質問する
- 「紹介してください」と素直に伝える練習
- 自分の夢や想いを言葉にする
- なぜその働き方がしたいのかを明確に
- 家族や大切な人のストーリーを伝える
- 最初は収入が少なくても諦めない覚悟
- 「やり続けることが成功への近道」と信じる
- 過去の自分を否定しない
- 夢を諦めることは自分との約束を破ること
高田さんのキャリアサマリー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 中学校教師(公務員) |
| 学習期間 | 夏休み期間(約1〜2ヶ月) |
| 独立 | 教師を退職後すぐ |
| 苦難期 | 月5万円程度(約2年間) |
| 人脈構築 | 2年間で150人と会う |
| 現在の月収 | 安定月10万円+単発月10〜30万円 |
| 案件獲得 | 95%が紹介 |
| 働き方 | キャンプインストラクター × 大学アシスタント × WEBデザイナー |
| 夢 | 日本一周して移住先を見つけ、家族のカフェを開く |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 中学校教師(公務員) |
| 学習期間 | 夏休み期間(約1〜2ヶ月) |
| 独立 | 教師を退職後すぐ |
| 苦難期 | 月5万円程度(約2年間) |
| 人脈構築 | 2年間で150人と会う |
| 現在の月収 | 安定月10万円+単発月10〜30万円 |
| 案件獲得 | 95%が紹介 |
| 働き方 | キャンプインストラクター×大学アシスタント×WEBデザイナー |
| 夢 | 日本一周して移住先を見つけ、家族のカフェを開く |
編集後記
高田さんのインタビューで最も印象的だったのは、「諦めない」という強い意志でした。
月5万円という収入でも、2年間続けた。それは、明確な夢があったから。家族全員が幸せになれるカフェを開くという、具体的で切実な夢があったから。
そしてもう一つ。「人と直接会う」ことの大切さ。
オンラインで簡単に済ませることもできるのに、わざわざ会いに行く。相手の夢や人生に興味を持ち、深い関係性を築く。この「手間をかける」ことが、信頼につながり、紹介につながっているんですね。
旅をしながら働く。それは決して簡単な道ではありません。でも、明確な夢を持ち、スキルを身につけ、人とのつながりを大切にし、そして何より諦めなければ、必ず実現できる。
高田さんの物語が、そう教えてくれています。
あなたも、一歩踏み出してみませんか?









