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フリーランスが報酬未払いに遭ったらどうする?解決策と予防策

フリーランスが報酬未払いに遭ったらどうする?解決策と予防策

労働に対して報酬を受け取るのは当たり前のことですよね。

でも、実は報酬を支払われないケースが世の中には存在するのです。

会社員の場合は、労働基準法で給与の支払方法まできちんと法律で決められていますので、給与の未払いが生じれば、明らかな法律違反です。

でも、フリーランスの場合はどうでしょう?

同じように労働基準法を盾に闘えるのでは?」と思ったあなた、残念ながら答えはノーです。

この記事では、フリーランスが報酬未払いに遭ってしまったときの解決策をまとめました。

そして、そもそも未払いを避ける方法はないのでしょうか?

フリーランスが報酬未払いを避けるための予防策もお伝えしますね。

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目次

フリーランスの報酬未払いはなぜ起きる?

報酬未払いといっても、原因はいくつか考えられます。

相手側のクライアントに問題がある場合もあれば、自分に非がある場合もあります。

また、わざとではなく、うっかりミスで起きてしまうこともあるので、一方的に相手を責めないようにしましょう。

ここでは、フリーランスが仕事をする上で報酬未払いが起こりがちな原因を紹介します。

未払いで困っている方はもちろん、今後、そのような目に遭わないための参考にもなるので、頭に入れておいてください。

フリーランス側の間違い

フリーランス側のミスによる報酬未払いのケースとして考えられるのは、こちらの3つです。

  1. 請求手続き上の間違いがあった場合:請求書を発行していない、など
  2. 納品物の要件未達による場合:納品物がクライアントが求めるクオリティに達していない、など
  3. 契約内容の理解の齟齬による場合:支払日や締日などの勘違い、など

クライアント側の間違い

いっぽう、クライアント側の原因としてよくあるのが、こちらの4つです。

  1. 担当者から経理担当者への伝達ミス
  2. 経理担当者による支払処理ミス
  3. 支払を避けたい意図がある場合
  4. 支払えるお金がない場合

フリーランスが報酬未払いにあったときの解決策

それでは、フリーランスが報酬を払ってもらえなかった場合には、どうしたらよいのでしょうか。

当然、未払い金を回収するのがゴールですが、クライアントと交渉する過程で新たな衝突や悪感情は生みたくないですよね

そのためにも効率よく交渉手続きを進めていきましょう。

まずは冷静に原因を確認

収入が不安定になりがちなフリーランスにとって、報酬未払いは絶対に避けたい事態です。

ですから、「報酬が支払われないかも?」という心配は大きいと思います。

でも、パニックに陥って、必要以上に攻撃的になってクライアントを責めてしまうと、将来的に仕事がやりにくくなってしまうかもしれません。

クライアントだけでなく、業界の中で噂になって、自分に非はないのに悪いイメージをもたれてしまっては困りますよね。

かといって、泣き寝入りはしたくないし…。

なので、交渉にはバランスが大切です。角が立たないように、でも自分の要求もしっかり伝えるのがポイントです。

まずは冷静に原因を確認しましょう。トラブル発生の時こそ、初動が肝心です。

原因を究明することで、どういうアプローチで何を要求したら、最小限のやり取りで解決できるかを考えることができます。

前の「フリーランスの報酬未払いはなぜ起きる?」の項で確認した原因のパターンのどれに当てはまりますか?

フリーランス側の間違い全部と、クライアント側の間違い1と2が原因なら、状況を連絡するだけで簡単に解決するはずです。

クライアント側の間違い3と4が原因である場合は、慎重な行動が必要になりますが、こちらはあくまで礼節を持って交渉することから始めましょう。

心配なら、早い段階で専門家に相談することも検討してください。

クライアントに連絡

最初は、あくまで冷静かつ友好的に状況を連絡しましょう。

記録が残った方が良いので、メールでの連絡がおすすめです。

できれば一対一のやり取りは避けて、クライアント側の関係者もCCやBCCで入れることをおすすめします。

それから、相手が責められていると感じないように、言葉遣いには気をつけてください。

簡潔に状況を報告し、クライアント側の言い分にも耳を傾ける姿勢を示します。

その上で、フリーランスの側から提案可能な解決策を、お願いあるいは質問の形で伝えましょう。

一つ、ここで気をつけていただきたいのは、必要以上に下手に出る必要はないということです。

仕事を与えてくれるお客様という意識から弱気になって、くどい言い回しになったり、条件を下げたりする必要はありません。

クライアントが誠意ある人物または会社であるならば、普通にこちらのお願いを聞き入れてくれるはず。

最初のメールは、あくまでもリマインダーとして、契約内容と違う部分に気づいてもらうように書いてみるのもポイントです。

何事もルールに則って処理することが大切なので、最初は、契約内容に沿った方法で未払いの報酬を回収するように話を進めてください。

過ぎてしまった支払日については、最短でいつまでなら支払いが可能なのか、クライアントに確認しましょう。

あるいは、自分が希望する支払期限を提案するのでも構いません。

クライアントが応じてくれない場合

問題なのは、クライアントが未払い金の支払いに応じてくれなかった場合です。

長期戦になることも覚悟して、ビジネス慣習に沿って行動すると共に、法律などのサポート利用も検討してください。

内容証明郵便を出す

クライアントが支払いに応じてくれない場合や、返事が返ってこない場合には、内容証明郵便で請求書を出してみましょう。

内容証明郵便は、「いつ、どういった内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」ということを、日本郵便が証明する制度です。

差出人が作成した謄本(コピー)を根拠に、差し出された文書の存在を証明するものです。

その後に訴訟を起こす場合には、フリーランス側のアクションの証拠にもなります。

文書の内容について、善悪あるいは真偽などを証明するものではないことは理解しておきましょう。

内容証明郵便を出すには、以下の4つを用意します。

  1. 受取人へ送付するもの(「内容文書」と呼びます。)
  2. (1)の謄本2通(1通は差出人が控えとして取っておき、もう1通は郵便局が保存します。)
  3. 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
  4. 内容証明の加算料金を含む郵便料金

そして、内容文書には以下の内容を必ず入れましょう。

  1. 契約の内容
  2. 完了した業務の内容
  3. 報酬の金額
  4. 支払い期限と、それまでに支払いがなかったこと
  5. 支払いもしくは回答による対応の期限
  6. 期限までに支払いまたは回答がなければ、法的手続きを利用することの意思表示

内容文書は、弁護士に作成を依頼することも可能です。

心配な人は、相談してみてください。

ちなみに、内容証明郵便は一般書留として配達されます。

内容証明で出せる郵便物は、定型、定形外、郵便書簡、第四種郵便物(点字)に限られることにも注意しましょう。

また、内容文書の用紙サイズや筆記具に決まりはありませんが、1枚の用紙に収める文字数には上限があります。

その他にも細かな決まり事があるので、内容証明郵便を差し出す郵便局に問い合わせるか、日本郵便のホームページで確認しましょう。

参考内容証明内容証明 ご利用の条件等

裁判所に相談、少額訴訟を利用する

内容証明郵便で文書を送っても、クライアント側からなんの反応もなかった場合には、法的手続きを起こすステップに移ります。

報酬の金額によって管轄する裁判所が違います。

報酬額が60万円未満の場合には、簡易裁判所の少額訴訟を利用することができ、このような利便性があります。

  • 1回限りの審理で判決が出る。
  • 支払督促を簡易裁判所に依頼することができる(金銭債権に対する強制執行)。
  • 訴訟の途中で、和解(話し合いによる解決)に切り替えることもできる。

一方で、少額訴訟には注意すべき点もあります。

  • 原告の言い分が認められる場合でも、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決になることがある。
  • 判決に対する不服申立ては、異議の申立てに限られ、控訴はできない。
  • 原則として1回の審理で紛争解決を図る手続きであるため、証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られる。

裁判官と共にテーブルを囲んでの話し合いで審理を進めたい場合や、報酬金額が60万円以上の場合には、法定訴訟になります。

報酬金額が60万円以上、140万円以下の場合には簡易裁判所で、訴訟手続きを行います。

報酬金額が140万円を超える場合には、地方裁判所が管轄になります。

公正取引委員会に相談する

仕事の内容が業務委託契約である場合は、下請法を適用して違反を訴えることもできます。

下請法の対象となる取引は、クライアントとフリーランス双方の資本金規模と、取引の内容で定義されますが、気軽に相談してみましょう。

支払いの遅延も、クライアントがフリーランスに対してしてはいけない禁止事項として下請法第1項第2号に定められています。

その他にも以下のような禁止行為があるので、公正取引委員会のホームページに目を通しておきましょう。

  • 受領拒否(第1項第1号):注文した物品等の受領を拒む。
  • 下請代金の減額(第1項第3号):あらかじめ定めた下請代金を減額する。
  • 返品(第1項第4号):受け取った物を返品する。
  • 買いたたき(第1項第5号):類似品等の価格や市価に比べて、著しく低い下請代金を不当に定める。
  • 購入・利用強制(第1項第6号):クライアントが指定する物・役務を強制的に購入・利用させる。
  • 報復措置(第1項第7号):フリーランスがクライアントの不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由に、フリーランスに対して、取引停止等の不利益な取扱いをする。
  • 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号):費用を負担せずに注文内容を変更したり、受領後にやり直しをさせたりする。

参考:公正取引委員会「親事業者の禁止行為」

報酬未払いを避けるためにフリーランスができること

次に、報酬未払いを避けるためにフリーランスが取るべき予防策について説明します。

受注や契約の際に少し気をつけるだけでも違ってくるので、参考にしてくださいね。

相手を見極める

そもそもクライアントから受注をする際には、信頼できる相手なのかを見極めてからにするようにしてください。

やり取りの中で、一方的な要求を押しつける、言っていることがコロコロ変わる、大事なことを伝えるのが遅れる、など、社会常識的に違和感を感じる部分がいくつもあるようなら、避けた方が無難です。

クライアントとはいえ対等な立場であることを自覚し、自分の要望もはっきりと伝えて、クライアントがそれに応える意思があるかどうかを見極めましょう。

また、口コミなど第三者の評判なども調べると良いです。

クラウドソーシングサイトなどでは、過去の取引に関するレビューも参考になります。

後は、守秘義務から仕事の内容やクライアントの名前は出せないかもしれませんが、契約トラブルに詳しい専門家に相談するのも、おすすめです。

もちろん、多少のマイナス面に目をつぶったとしても、どうしてもそのクライアントから仕事を受けたい場合もあるでしょう。

でも、本当にマイナス面を補って余りある相手ですか?

後からトラブルが発生して、その調整に時間や費用、心理的な負担を抱えて後悔する可能性はありませんか?

メリットとデメリットを自分なりに整理してから受注を決めてくださいね。

契約書を交わす

相手を見極めるには、契約書を作成するのは良いチャンスです。

契約書を交わす際には、クライアントもフリーランスも、両方から要望を提案し、その内容をすり合わせていくことになります。

クライアントが用意した契約書に基づいて契約を交わす場合も、細かいところまでよく読んで、疑問や心配な点があれば、確認します。

また、受け入れられない要求は、きちんと理由を伝えて、修正の検討をお願いしてみると良いです。

これらに対してクライアントが誠意ある態度で対応してくれない場合には、受注を辞退するか、用心しておくべきでしょう。

契約書に書かれている内容を守る

くれぐれも、クライアントに契約違反を指摘されることのないように気をつけましょう。

納品期日や納品物のクオリティ、請求書方法や期日など、こちらの対応に不備がないようにしてください。

やり取りの記録を残す

言った言わないの議論を避けるために、クライアントとのやり取りは記録に残しておきましょう。

その際には、この4つを心がけてください。

  • メールや文書でのやり取りを極力使う
  • 電話などの通話は録音する
  • ホームページやSNSなどの書き換え可能な媒体による情報交換には気をつける
  • 日付の分かる形で保存する

弁護士相談を利用する

弁護士に相談するとなると、費用が心配ですが、最近では少額で相談に乗ってくれる弁護士もいます。

フリーランスに特化した弁護士もいるので、調べたり、知り合いのフリーランスに聞いてみると良いと思いますよ。

フリーランスエージェントを利用する

クライアントとフリーランスの間に立って、仕事を紹介してくれるエージェントもあります。

トラブルの際には代理で交渉をしてくれるエージェントを選んで、仕事選びの負担を減らすという選択肢もあるでしょう。

フリーランス向けの保険サービスを利用する

弁護士への相談料や着手金、訴訟費用などの一部を負担してくれるフリーランス向けの保険というのもあります。

保険内容や条件はさまざまですので、比較検討して選びましょう。

まとめ

以上、フリーランスに起こりうる報酬未払いのトラブルについて見てきました。

このようなトラブルには泣き寝入りするのではなく、冷静にステップを踏んで解決すべきです。

そのステップは、(1)原因究明と(2)クライアントへの連絡という、簡単に対処出来ることでしたね。

(3)の訴訟に発展する可能性もありますが、簡易裁判所や公正取引委員会などの、公的機関の受け皿を有効活用しましょう。

いずれの場合も、冷静を保ちながら、迅速かつ丁寧に対処することがポイントです。

そして、訴訟に発展したとしても、その後の仕事に影響したりしないように、言動のバランスに気をつけてくださいね。

あくまでも、自分の非を責められることのないように、礼節を保ってルールを守ることが大切です。

また、トラブルを未然に防ぐための予防策も紹介しました。

普段から、不利な条件で働かなくても済むように、仕事相手や条件は自分で選べるようにすることを心がけて、適切な相談先も探しておきましょう。

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