あなたも、職場での目標設定の一環として、「振り返り」をしたことがあるかもしれません。
企業では、「年度当初の計画どおりに実行できたか」「実行により成果を出せたか」などを振り返って思い出しながら、「あまりできなかったな」「そこそこできたかな」などの評価をして、年度を締めくくることが多いと思います。
ただ、これを毎年繰り返していると、
「毎回同じようなことを書いているけど、これって何か意味があるのかな?」
「仕事で忙しいから、こんなことで時間を取られていやだな」
などと面倒に感じることもあるのではないでしょうか。
たしかに、振り返りの意義やメリットを知る機会がなければ、ただの時間と手間のかかる面倒な作業になってしまいますよね。
しかし本当は、「振り返り」は、多くの効果を期待できる大切なステップなのです。
ちょっとしたコツさえつかめば、あなたもその効果を感じられますよ。
この記事を読めば、振り返りのもたらす効果や、効果を発揮させるコツがわかります。
ぜひあなたも、次期の振り返りに活かしてみてくださいね。
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目標設定したら必ずやるべき「振り返り」とは
目標設定は、目的を達成しやすくする効果があるため、多くの企業で取り入れられています。
ただし目標は、設定してただ実行に移すだけでは、それほど効果を期待できません。
それでは、目標設定の効果を高めるにはどうしたらよいでしょうか。
その答えは、実行後に「振り返り」をすることです。
業務を効率化し業績を上げる手法として、アメリカの統計学者であるウィリアム・エドワーズ・デミング氏が提唱した「PDCAサイクル」という理論があります。
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を指しています。
これは、目標を設定(計画)して実行したあとに、振り返って「評価」→「改善」することにより目標設定の効果を上げ、目的を達成しやすくするというものです。
「振り返り」とは、この「評価」の部分にあたり、PDCAサイクル理論においても、重要なステップの一つとして位置付けられているのです。
さらに振り返りは、他にもさまざまな効果を生み出します。
ここでは、目標設定における振り返りがもたらす4つの効果をご紹介し、併せて、振り返りで深い気付きを得られる2つの学習理論と、振り返りを具体的におこなうための2つの手法を解説していきます。
「振り返り」がもたらす4つの効果
目標設定したら振り返りをすることが重要だと言われるのは、さまざまなプラスの効果を得られるためです。
ここでは、振り返りで得られる4つの効果を解説します。
効果1_仕事の成果が上がる
目標設定しても振り返りをせず、「計画する→それを行動に移す」というサイクルを繰り返すだけでは、失敗したり非効率な作業を繰り返したりしてしまいかねず、なかなか業務改善につながりません。
それではいくら頑張っても、目的達成まで時間がかかったり目的達成できなかったりしてしまいますよね。
反対に振り返りをすれば、設定した目標どおりにできたこと・できなかったことを分析でき、それぞれどうしてそうなったかが明らかになります。
そして、よい部分はさらに磨きをかけ、失敗や無駄が多いことなどは改善して次期の計画・実行に活かせるため、業務効率が上がり目標達成しやすくなるのです。
目標達成率が向上すると仕事の成果も上がっていき、さらに企業目的の達成にも近づけます。
そのため、あなたの職場での評価を上げることにもつながりますよ。
効果2_仕事の能力が向上する
目標設定において振り返りをすると、自分の計画や実行方法などを客観的に分析できます。
そして、仕事の仕方を客観的に分析していくと、自分の得意なことや苦手なこと・失敗しやすいことなどをしっかりと把握できるようになります。
そのため、苦手な分野のスキルアップを図ったり、失敗の多いところを注意深く作業したりといった対応ができるため、結果的に仕事の能力が向上していくのです。
また、得意分野をさらに伸ばせば、伸ばしたスキルを活かせる部署に異動したり、得意なことを専門に扱うフリーランスに転職したりも可能です。
しっかり振り返りをすることで自分を成長させられ、あなたの可能性を広げられますよ。
効果3_モチベーションや自信がアップする
目標設定の振り返りをして効率よく仕事できるようになると、それに比例して仕事の成果も上がってきます。
仕事で成果を上げると、やりがいを感じ周囲からも評価されるため、より一層仕事に対して意欲的に取り組めるようになります。
また振り返りをすると仕事のスキルが向上するだけでなく、客観的に自分自身の成長を把握できるため、仕事に対する自信も高まっていくのです。
仕事に対するモチベーションや自信がアップすると、「次の成果につながりやすくなる→さらにモチベーションや自信が高まる」というプラスのサイクルに乗ることができます。
効果4_コミュニケーションが活性化する
目標設定の振り返りをすることで、よい影響を受けるのは個人だけではありません。
振り返りは、会社組織やチームにもプラスの効果を発揮します。
目標設定から振り返りまでを組織やチーム内で共有し合うことにより、社員同士や組織間のコミュニケーションが活性化し、風通しのよい働きやすい職場になっていくのです。
さらに企業では、企業目的を達成し業績を上げるために、全社員で同じ意識を持ち一致団結して働いてもらう必要があります。
振り返りを共有することで、社員個々の状況を把握しやすくなり、組織として全体の仕事の方向性やスピードを調整したり、弱みをフォローする体制を整えたりでき、効率よく企業の発展につなげられます。
「振り返り」を活かす代表的な理論2選
はじめにお話した「PDCAサイクル」以外にも、振り返りを取り入れ、その効果を活かす理論があります。
ここでは、「PDCAサイクル」のような業務改善できるという効果だけでなく、振り返りをする人や組織そのものを成長させたり、業務の前提そのものを改革して時代に合う経営に変えたりできる2つの学習理論をご紹介します。
経験学習モデル
経験学習モデルとは、アメリカの組織行動学者であるデイヴィッド・コルブ氏が提唱した「経験を通じて学んだことを概念化して、次または別の経験に活かす」という考え方の学習理論です。
大まかには、「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」という4つのプロセスを繰り返すことで業務改善できるとともに、経験したことや学習したことを活かし、自己や組織の成長につなげられるというもの。
「振り返り」は、4つのプロセスのうち「内省」にあたります。
次にそれぞれのプロセスを解説していきます。
まずは、自ら行動し具体的な経験をします。
経験は、ただ人から指示されるままに行動したり、頭の中だけで想像したりするだけでは意味がありません。
自分の考えに基づいて具体的に行動し、その結果を実際に体感するのがポイントです。
上司からの指示やマニュアルがあったとしても、「なぜそのように行動するのか」自分でよく考え理解したうえで行動に移すことが大切なのです。
そうすることで新たな気付きを得やすくなり、自分を成長させることができます。
次に、自分が経験したことを注意深く振り返ります。
このとき、失敗したことを悲観したり自分を責めたりするような「反省」は必要ありません。
成功も失敗も同じように、客観的に冷静に見て分析するのがポイントです。
経験した全てについて、「なぜその結果になったのか」さまざまな角度から原因を探ることで、次の行動を成功に導きやすくなるのです。
「内省」で「経験」を分析できたら、分析結果から要点を洗い出し、体系的に整理します。
このとき、過去の似たような経験に基づく既に存在する理論と、今回の気付きに基づく理論を照らし合わせて、あらたな独自の理論を作りあげることがポイントです。
このように、経験を活かした知識やノウハウを蓄積し、別のケースや他の人も応用できるようにすることで、自分自身のスキルを伸ばせるだけでなく、組織全体の成長・業績アップにも貢献できます。
概念化で導き出した独自の理論を実践します。
経験学習モデルを始めたばかりのときは、実践でよい結果を得られないことも多いと思います。
しかし、だからといって独自に積み上げた理論に対して自信を失ったり、実践をためらったりする必要はありません。
実践することにより初めて新たな気付きやノウハウを再び得られ、また一歩前進できるのです。
「経験→内省→概念化→実践→内省……」とプロセスを繰り返すことにより、着実に大きな成長や成功に近づいていくことができます。
ダブルループ学習
ダブルループ学習とは、アメリカの組織行動学者であるクリス・アージリス氏が提唱した「既におこなっている取り組みにおいて行動と学習を繰り返しつつ、既存の取り組みを時代に合う新たなものに改革していく」という考え方の学習理論です。
既におこなっている取り組みにおいて、行動と学習のサイクルを繰り返すことを「シングルループ学習」、シングルループと並行して既存の取り組みの前提を改革するサイクルを繰り返すことを「ダブルループ学習」と呼び、それぞれのループを簡単に表すと次のようになります。
「既存の行動」→「結果」→「学習」→「既存の行動を改善」
→現在の取り組みを基礎として、その取り組みをいかに効率よく改善し業績を上げるかという視点で振り返り、学習したことを次期業務の改善につなげる。
[シングルループ学習]+[「既存の行動」→「結果」→「学習」→「行動の前提を改善」]
→シングルループ学習をしつつ、「現在の取り組みは果たして正しいのか?」と取り組みの前提自体を疑問視してする視点で振り返り、学習したことを新たな取り組みへ改革することにつなげる。
シングルループ学習は、業務を効率化する効果はありますが、取り組みを始めた当初と環境が変わってしまった場合、取り組みそのものまでは振り返らないため環境変化に対応できないというデメリットがあります。
一方、ダブルループ学習であれば、現行の取り組みを改善しつつ、取り組みそのものの改革にも目を向けるため、世界情勢や流行など変化の大きい現代でも適応していくことができます。
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「振り返り」の2つの手法と職種別例文
振り返りは、目的を達成するために、とても重要な役割を果たしているというお話をしてきました。
これを読んで、ぜひ振り返りをやろうと思った人も多いかもしれません、そこで、ここでは振り返りの具体的なやり方として代表的な2つの手法を解説します。
手法ごとに職種別の例文も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)
はじめに、日本能率協会コンサルティングが開発した振り返りの実践手法である「YWT」をご紹介します。
YWTとは
YWTとは、「やったこと」「わかったこと」「次にやること」の頭文字を指しています。
業務よりも「人」を軸として人材育成を目指し、そこから組織の成長も促していくという特徴を持つ振り返り手法です。
次に「Y・W・T」それぞれを具体的に解説します。
次の①②を箇条書きにします。
①自分の立てた目標・計画に基づき実践したこととその結果
②想定外に実施したこととその結果
失敗・成功に関わらず事実を全て客観的に書くことが大切です。
さらに①②に併せて、行動したときの背景・意図したこと・挑戦したこと・改善したこと・創意工夫したことなども記入します。
Y(やったこと)を通して、「気付いたこと」「ひらめいたこと」「感じたこと」「思ったこと」「考えたこと」「学んだこと」などを記入します。
「こんなふうに感じるのは変かな?」「自分はこう思うけど、常識的にはどうかな?」などと気にすることなく、自分が素直に味わったことを率直に書くことが大切です。
自分の感じ方やクセなどの個性を自覚して理解することが、さらなる成長につながっていくのです。
W(わかったこと)の学びや気付きを活かし、「次に取り組みたいこと」「働きかけたいこと」「改善したいこと」「創意工夫したいこと」などを記入します。
このとき、W(わかったこと)を前向きかつ創造的に次の計画や行動に反映することが大切です。
さらに、あらためて最終的に目指す目的を確認し、その達成に向けた目標設定を意識することで、振り返りの効果が高まります。
YWTの職種別例文
YWTを使って振り返るときは、まず1枚の用紙を3分割し、「やったこと」「わかったこと」「次にやること」を記入していきます。
次に、営業・事務・クリエイティブの職種に分けて例文をご紹介します。
営業系
新規顧客を10%増やすため外回りの時間を2時間増やした
→前年より訪問件数を1ヵ月につき10件増やせた
→自社製品を詳しく説明できるスキルを身につけたが、訪問先であまり話を聞いてもらえなかった
→新規顧客は5%増という結果だった
→社内での事務処理時間が足りず残業が多くなった
- 訪問しても話を聞いてもらえないのは、信頼感がないからではないか
- 自分を信頼してもらうには、相手とよい関係を築く必要がある
- 相手とよい関係を築くには相手をよく知らなければならない
- 相手のことを知れば、ニーズに応えやすくなる
- 今まであたり前だと思っていた事務処理だが、もっと簡潔にできるのではないか
- 自社製品の勉強と説明のスキルアップを引き続きおこなう
- 訪問先で信頼されて話を聞いてもらえるよう訪問先企業について学び、関連情報を仕入れて話題にする
- 顧客候補の情報を分析し、契約の可能性が高そうな企業を優先して訪問する
- 事務処理の工程を見直して作業効率を10%上げる
- 報告書のテンプレートを作り報告書作成時間を2/3に短縮する
事務系
パソコンでの資料作成
→レイアウトがきれいで読みやすいと言われた
→文章がとてもわかりやすいと言われた
→作成に時間がかかり期限ぎりぎりになってしまった
→誤字脱字多いと指摘された
- 資料の使い道によってレイアウトを変えたのは正解だった
- 文章を書くのが好きで、他の人より少し得意かもしれない
- 資料作成が遅いのは、作業に無駄な動きが多いからだと思う
- いつも慌てて作業しているため正確さに欠けるのではないか
- さまざまなケースに合うレイアウトをあらためて調べ活用していく
- 文章力に磨きをかけるため、9月に文章の書き方講座を受講する
- 効率のよい作成手順を工夫し、ショートカットを10種類以上覚える
- 落ち着いて作業し、誤字脱字のダブルチェックを必ずおこなう
クリエイティブ系
クラウドソーシングでバナーデザイン作成のコンペに1ヵ月で30件応募した
→契約成立したのは1件だけだった
→とにかくたくさん作品を作ってコンペに挑戦することが大事だと思い頑張った
- 質より量にウェイトを置いてしまったかもしれない
- 案件を取りたくて気持ちが焦っていたと思う
- コンペに選ばれた人の作品は、意外にシンプルで見やすかった
- 目立とうと少し変わったデザインにしすぎたかもしれない
- バナーデザイン作成は好きだが、時間をかけた割には成果が少なく疲れた
- コストパフォーマンスを考え、ランディングページのデザイン作成も視野に入れたほうがよいかもしれない
- 量より質を大事にする意識に切り替える
- ランディングページ作成の案件に1ヵ月2件のペースで挑戦する
- コンペに選ばれている人の作品や作品のまとめサイトを研究し、自分の作品に活かす
- 成果の小さな案件は無理せず、隙間時間に楽しむ気持ちで応募する
KPT(Keep・Problem・Try)
次に、アメリカのコンピュータープログラマーのアリスター・コーバーン氏が考案した振り返りの実践手法である「KPT」を解説します。
KPTとは
KPTとは、「継続すること(Keep)」「問題点と課題(Problem)」「挑戦すること(Try)」の頭文字を指しています。
YWTが「自己の成長」を本旨としているのに対し、KPTは「問題点の改善による目標達成」を目的としており、チームで取り組むプロジェクトにも向いています。
次に「K・P・T」それぞれを具体的に解説します。
取り組んできたプロジェクトを振り返り、「円滑に進められたこと」「よい結果がでたこと」「次期も継続すべきこと」を箇条書きにします。
ここでは、失敗したことは忘れ成功事例だけを洗い出しましょう。
成功に至るプロセスや成功した理由も併せて書くことが大切です。
自分自身で、なぜ・どのように成功できたのかをはっきりと自覚するとともに、チーム全員で共有することで、次期プロジェクトでも同様の成功を収められる可能性が高まります。
取り組んできたプロジェクトの「問題点」と、問題を改善するために取り組むべき「課題」を箇条書きにします。
このとき、問題が生じたプロセスや理由、問題改善にはなぜその課題が必要なのかも併せて書きましょう。
チームで振り返る場合は、失敗を責めたり気後れして遠慮したりすることなく、客観的に前向きに意見を交換し合える雰囲気を作ることが大切です。
自分自身やチーム全員が、問題点と課題をしっかり認識することで、失敗を繰り返すことなく、より効率的にプロジェクトを進められるようになります。
「K(継続すること)」「P(問題点と課題)」の内容を前提として、次の①②を記入します。
①「K(継続すること)」で書き出した成功事例に、さらによい結果を出せるようなアイデアをプラスした取り組み
②「P(問題点と課題)」で洗い出した課題を克服するための取り組み
ここで書く取り組みは、実践に移しやすく、さらに進捗を確認しやすいように、できる限り「◯回」「◯%」「◯ヵ月」など数値を入れることが大切です。
KPTの職種別例文
KPTを使って振り返るときも、YWTと同様に、まず1枚の用紙を3分割し、「継続すること」「問題点と課題」「挑戦すること」を記入していきます。
次に、営業・事務・クリエイティブの職種に分けて例文をご紹介します。
営業系
前年よりリピート率が20%増加した
→顧客へ訪問する時間を増やし、こまめに顔を出すようにした
→顧客からの信頼が増しさまざまな相談をされるようになったことが、製品購入につながった
新規顧客の増加率が5%下がった
→PR不足だった
→同業種の他社に負けてしまった
→顧客のニーズをつかみきれていなかった
- 既存の顧客へのこまめな訪問の継続で一層の信頼を獲得して次の製品購入につなげ、リピート率をさらに10%増やす
- 7月にプレゼンテーション研修を受け営業スキルを向上させる
- 日々世界情勢や最近の流行などを仕入れ、話題を豊富にする
- 広報課と連携し、10月までにホームページやランディングページでのPRを強化する
- 同業他社の情報と顧客候補のニーズを詳しく分析し、独自の強みを積極的に売り込むことで、新規顧客を10%増やす
事務系
窓口での接客
→アンケートの回答に、笑顔で丁寧な言葉遣いだったため安心できたとあった
→9月に接遇研修を受け接客スキルを一層アップし、顧客満足度を20%向上させる
→日頃から睡眠をしっかり取るなど生活習慣を整え、ストレスをためないよう意識することで、疲れを顔に出さず爽やかな接客ができるようにする。
- 前回別の人に言われたことと違うというクレームを受けた
- 答えられないことが多くお客さんをイライラさせてしまった
→窓口マニュアルはあるが、内容が古くとてもわかりにくい
→わかりやすい統一マニュアルがないため、人により対応がぶれている
→課内で情報共有する機会がない
→自分の課の業務を把握できていないため答えられないことが多い
→答えられないと慌ててオドオドしてしまう
- 爽やかで丁寧な接遇を引き続き心がけ、お客様満足度アンケートの好評価を10%上げる
- 担当業務を整理しつつ窓口マニュアルをリニューアルし、後期から窓口担当全員で共有する
- 社内システムの掲示板を利用し、注意事項や関連情報などを共有しあうルールを作り6月から実施する
- 日々お客さんを不安にさせない落ち着いた動作・話し方を考えながら試行錯誤を重ねて、年度末までに自信を持って接客できるようになる
クリエイティブ系
委託業務でホームページのデザインを作成し、納品した
→最終的には見やすくて使いやすいと気に入ってもらえた
→デザインは比較的スムーズに仕上げられた
意思の疎通が難しく何度も修正依頼があり想定より時間がかかってしまった
→口頭でやり取りしただけではお互いに受け取り方に違いが出てしまうことがわかった
→完成度を上げたとしても、ある程度の修正依頼は仕方ないと感じた
コーディングでつまずくことが多くかなり苦戦した
→コーディングよりもデザインが好きで得意だとあらためて感じた
→コーディングは嫌いではないが、デザインをメインとして受託したい
- 打ち合わせはビデオ通話を利用し、イメージに近いホームページや手作りの資料を見せることで、お互いに思い違いしないよう工夫する
- はじめから納品後の修正を3回含む契約内容に変えることで、お互いに気持ちよくやりとりできるようにする
- デザイン中心の依頼が多くなるよう自分のホームページのPR文を修正する
- 難しいコーディングは積極的に外注する
「振り返り」を最大限に活かす4つのコツ
YWTやKPTは、振り返りをスムーズにおこなえる優れた手法です。
しかし、何も意識せずにYWTやKPTを活用すると、せっかくの効果が薄れてしまいます。
それでは何に気をつければ、振り返りをしっかりと仕事の成果につなげられるのでしょうか?
ここでは、振り返りの効果を最大限に活かす4つのコツを解説します。
所要時間を予測し、実働時間を記録する
プロジェクトや個々の作業を効率的に進めるには、無駄な時間を省いたり手際よく処理を進めることが重要です。
そのためまずは、目標設定の段階で、取り組みに必要だと思われる期間や時間をあらかじめ想定しておきましょう。
そのうえで、実働でどのくらい時間を費やしたかも記録し、振り返りのときに当初の予想と比較します。
そうすると、
「作業は早いけれどミスが多い→もう少し時間をかけて丁寧に作業したほうが成果が上がるのでは」
「いつも想定より遅くなってしまう→無駄な工程がないか洗い出し、作業効率を上げよう」
といった気付きにつなげやすくなります。
また、プロジェクト全体や大きな業務単位だけでなく、小さな作業ごとに時間を計り作業時間と作業の質を検証すると、気付きや学びが多くなりより効果的です。
1日の作業を始める前に、今日の勤務時間内に何時間で何をどこまで進めるかといった計画を立て、実働時間を計りながら作業し、日々結果を振り返るのもおすすめですよ。
取組内容・結果・背景・感想・気付きをメモする
仕事をした直後は、実行したことや感じたことなどをはっきりと覚えているのに、あとで振り返ろうとしたら、記憶が薄れていたりすっかり忘れてしまったりしていた経験がある人もいるのではないでしょうか。
なかなか思い出せないと余計な時間がかかって業務に差し支えますし、思い出せない場合は振り返ることすらできなくて困ってしまいますよね。
そうならないためには、実際の取り組みとその結果に関係するさまざまなことを、その場ですぐにメモしておくことが大切です。
「取り組んだときの背景や状況」「感じたこと」「教えてもらったこと」「気付いたこと・ひらめいたこと」など、できるだけ多く記録するのがポイントです。
自分用のメモなので、「こんなことまでは不要かな?」などと気を遣う必要はなく、時間が経っても鮮明に思い出せるよう、できる限りこまめにかつ具体的にメモを取りましょう。
このメモがあることで、効率よく振り返りできるだけでなく、次期の取り組みに対しきめ細かく多くのことを活かせるため、仕事で成果を出しやすくなりますよ。
振り返りやすい具体的な目標を立てる
振り返りをスムーズにおこない、その効果を最大限に引き出すには、目標設定で「具体的な作業や工夫の仕方」をわかりやすく書くとともに、期限・達成率などはできる限り数値で表現することが大切です。
目標設定を曖昧な表現にすると、振り返ったときに、どの程度達成できているのか判断できないだけでなく、課題も見つけにくくなってしまうのです。
例えば「作業効率を上げ、生産量を昨年度より増やす」という目標設定では、「どのような方法で」「どの程度作業効率を上げ」「どのくらい生産量を増やす」のかが曖昧ですよね。
売上の伸びがほんの少しでも大幅でも「目標達成できた」という評価になりますし、どのように努力してきたのかや、今後どうすべきかも判断しにくいため、せっかく振り返りをしても、効果的に仕事の成果につなげられません。
それを防ぐには、次のようなイメージで目標設定するとよいでしょう。
「作業工程を見直しミスの多い工程を見つけて改善することにより、ミスの発生率を5%以下に押さえ、作業効率を10%増加させる。
その結果、昨年度より生産量を10%上げる」
成功も失敗も客観的に分析する
振り返るときに気をつけたいのは、「ただ反省して終わりにしない」ということです。
これを意識しないと、進めてきた作業やプロジェクトを思い返したとき、計画通りにできなかったことや失敗したことばかり頭に浮かび、ついつい「ミスしたことが悪い」「自分のせいだ」などと過去を悔やんだり自分を責めたりしてしまいがちです。
そうすると、ポジティブな改善策を思いつきにくくなったり、気軽に思ったことを言えない雰囲気になったりしてしまいます。
さらに、成功したことに目を向けにくくなるため、よい部分を積極的に取り入れてレベルアップできません。
これでは、振り返りの効果を次期の行動に活かせなくなってしまいますよね。
そのため振り返りは、成功も失敗も平等に扱い、過去の取り組みを「よい」「悪い」と評価するのではなく、あくまでも冷静に客観的に、そして前向きに分析するよう心に留めておく必要があるのです。
「面談」で「振り返り」の効果はさらに高まる
多くの企業では、目標設定の振り返りをするときに、上司との面談も併せておこなっています。
「上司と二人きりで話すのは緊張するな」「忙しいのに面倒だな」とちょっと憂鬱になる人もいるかもしれませんね。
しかし上司との面談には、「振り返りの効果をより一層高める」という大切な意義があるのです。
ここでは、面談のメリットをご紹介し、さらに、意義のある面談にするために気をつけるべきポイントを、部下と上司それぞれの立場から解説します。
振り返りに面談を取り入れる3つのメリット
振り返りに面談を取り入れると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは3つのメリットをご紹介します。
メリット1_業務のスピード・方向性を調整できる
目標設定の振り返りは個人ごとにおこなう場合もあれば、プロジェクト単位でチームごとにおこなう場合もあります。
個々の振り返りがそれなりにスムーズにできていても、全体として足並みを揃えるのは難しく、組織が大きくなるほど、個人やチームによって進捗スピードにばらつきが出たり、少しずつ方向性がずれたりしてしまいがちです。
あとで気付いたら、実は全体としてはバラバラとまとまりがなく非効率になっていて、思うように業績を伸ばせなかった、という結果にもなりかねません。
一方、面談で上司と振り返りの内容を共有すれば、広い視野で全体の進捗度合いをそろえたり、本来目指すべき会社の目的達成に向けて方向性を調整したりできるため、会社全体としての効率アップにもつながるのです。
メリット2_振り返りのクオリティが上がる
目標設定の振り返りでは、自分自身や属するチームの業務の進め方などを個々に分析し評価します。
そのため、振り返りのやり方を全員で統一したとしても、分析・評価する人の経験値や価値観により、評価のポイントや結果に対するとらえ方などに、どうしても温度差が生じてしまいます。
同じ業務をこなして結果も同等だった場合でも、ある人は「よくできた」、別の人は「まだ足りない」という評価になることもあり得ますよね。
また、実際に業務をこなしてきた自分自身への評価には、主観や感情が入ってしまうこともあるでしょう。
それに対し上司と面談すれば、全体の状況と比べつつ客観的な第三者としてフィードバックしてもらえます。
振り返りで大きな効果を発揮するには、あくまでも客観的かつ冷静に分析・評価することが大切です。
上司と面談でやり取りすることで、振り返りの内容が精査されてクオリティが上がり、振り返りの効果も一層高められるのです。
メリット3_モチベーションを維持できる
職種にもよりますが、仕事をしていると、人間関係の影響を受けたり想定外のことが起こったりして、イライラ・不安・焦りなどを感じることも少なからずあると思います。
それに、仕事を通じて、頑張ったこと・うれしかったこと・苦労したこと・辛かったことなどのさまざまな経験をすることで、誰もがいろいろな思いや感情を持ちますよね。
こうしたさまざまな思いや感情を一人で抱え込むと、不安に感じたり孤独感を持ったりしてしまうことがあります。
長く続くと心身に不調が出たり、業務効率が落ちたりなどの原因にもなりかねません。
しかし、自分の頑張ってきたことや思いなどを面談で上司と共有できれば、「自分のことをわかってくれている人がいる」という安心感が生まれます。
そうすると「職場に自分の居場所がある」「役に立っている」「やりがいがある」と感じられ、意欲的な気持ちで仕事に取り組めるようになるのです。
さらに上司との面談で振り返りのクオリティが向上するため、業績が上がる可能性が高まります。
業績が上がると仕事に対する自信がついてくることから、モチベーションを維持できます。
面談で意識すべきポイント
上司との面談をうまく活用すれば、自分自身の成長や仕事の成果につなげられます。
ここでは、面談を有意義なものにするために意識すべきポイントを、部下と上司それぞれの立場から3つずつご紹介します。
部下が面談で意識すべき3つのポイント
部下のあなたが、上司との面談をスムーズに受けプラスの結果を出すために、意識しておくべきポイントを3つご紹介します。
目標設定の振り返りをするとき、大抵は会社から振り返りの内容を書く用紙を配付されると思います。
必ず上司との面談の前に、振り返ったことをわかりやすくまとめ、この用紙に記入しておきましょう。
もし特に用紙が配付されない場合は、自分で用意することをおすすめします。
また、忙しい業務の合間に面談するため、面談時間は短いことも多いかもしれません。
上司から質問を受けたり他の話をすることも想定し、振り返りの内容・評価・改善策や今後の方針などを、簡潔に説明できるよう練習しておくことも大切です。
振り返りは、失敗したことだけでなく成功したことや工夫したこと、頑張ったことも全て含めて、客観的に冷静におこなうのがの正しい方法です。
つまり、セオリーどおりに振り返りをおこなえば、自分のよいところや気付いてほしいことをさりげなく上司に伝えられるということなのです。
もし失敗した取り組みがあっても、次に向けた意気込みや改善策を伝えることで、上司が受ける印象をプラスに変えることもできます。
振り返りのときには、「客観性+さりげなくPR」を意識してみてくださいね。
普段は自己PRが苦手な人でも、振り返りを共有するなかで自然に自分のよいところを伝えられるのでおすすめですよ。
「上司と面と向かって話すのは、気を遣うし緊張するから嫌だな」と上司との面談を憂鬱に思う人も多いかもしれませんね。
しかし逆に考えれば、普段忙しくてなかなか話す時間がない上司に、自分の仕事の悩みや思いを落ち着いて聞いてもらえて、あなたの人となりを知ってもらえるチャンスなのです。
自分自身をよく見せようと意識しすぎる必要はありません。
面談においては、振り返りをきちんとおこなう前向きな姿勢を評価されます。
そのため、しっかりと振り返りをして面談の事前準備をしたら、あとはできるだけリラックスして、心を開いて上司とやりとりしてみましょう。
お互いの人となりをわかり合えると、余計な気遣いや緊張感がなくなり、その後の仕事をスムーズに進めやすくなります。
もしかしたら、上司から有益な情報を聞けたり、普段聞けないプライベートな話がきけたりするかもしれませんよ。
ただし、気を緩めすぎるのは禁物です。
言葉遣いを丁寧にして、あいさつをしっかりするなど最低限のマナーを守りましょう。
上司が面談で意識すべき3つのポイント
あなたが上司として部下との面談をセッティングするとき、部下とのよりよい関係を築き仕事の成果も上げるために、意識しておくべきポイントを3つご紹介します。
振り返りの面談は、よいことだけでなく、失敗したことも同じように分析して部下に話してもらいます。
さらに、部下の悩みやプライベートな話を聞く場合もあるでしょう。
そのため、職場内の自席や打ち合わせスペースなど、話が周囲の人に聞こえたりざわざわと落ち着かない場所は面談にはふさわしくありません。
面談の場所は、静かで他の人に話を聞かれる心配がないスペースを確保し、部下が安心して話せる環境かどうか十分に気配りする必要があります。
振り返りの面談では、部下がリラックスして本音を話せるような場を作ります。
導入で雑談して空気をやわらげ・部下の説明に適度に相槌打ち・途中で反論しないなど、きめ細かい配慮が必要です。
また、部下のよい面はしっかりと認めて褒め、問題点に対しては、そうなった理由を聞いたうえで解決のヒントを与えて、部下自身に修正案を考えさせることも大切です。
頭ごなしに否定したり自分の考えや会社の方針を押し付けたりしてしまうと、部下の仕事に対するモチベーションが下がり信頼も失ってしまいかねません。
面談は、部下の仕事の方向性やスピードを会社や部署全体に合わせて調整しつつ、同時に部下を育成する場であると考えましょう。
部下との面談がうまくいっても、それだけで終わらせてしまっては振り返りの効果は半減してしまいます。
振り返りを効果的に活かすためには、面談後も継続して部下への声かけやフォローをすることが大切です。
頑張っていること・工夫してよくなったところ・成功したことに対しては、しっかりと認めて賞賛を伝えます。
面談で改善が必要だったことや不安だったことに対しては、経過報告を求めたり、必要に応じてアドバイスしたりするなど、よい結果に向かうよう見守りつつ支援しましょう。
まとめ
「振り返り」は、目標設定したら必ずおこなうべきステップです。
振り返りをすることで、仕事の成果や能力を上げられ、仕事に対するモチベーションや自信がアップするとともに、職場のコミュニケーションも活性化するなど、プラスの効果が期待できるためです。
振り返りを活かす代表的理論は「経験学習モデル」と「ダブルループ学習」。
これらの学習理論は、業務改善のほか、人材育成や時代に合わせた業務方針の改革などを目指すとき参考になります。
振り返りの代表的手法は「YWT」と「KPT」。
YWTは、業務よりも「人」を軸として人材育成を目指し、そこから組織の成長も促していくという特徴を持つ振り返り手法です。
KPTは、「問題点の改善による目標達成」を目的としており、チームで取り組むプロジェクトにも向いています。
振り返りを最大限に活かすコツは次の4つです。
- 所要時間を予測し、実働時間を記録する
- 取組内容・結果・背景・感想・気付きをメモする
- 振り返りやすい具体的な目標を立てる
- 成功も失敗も客観的に分析する
さらに、振り返りに「面談」を取り入れると、一層の効果アップになりますよ。
人や組織を育て、業務改善や業績アップといった魅力的な効果の多い「振り返り」。
ぜひ振り返りのコツをつかんで、あなたの望む未来を手に入れてくださいね。
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