屋号とは、個人事業主やフリーランスの事業体の名称で、いわゆる法人の会社名にあたります。
事業を行う上での顔のようなものですから、屋号をつける際には、長年使い続けられる、印象的で親しみやすく、魅力的な名前をつけたいですよね。
この記事では、屋号を決めるのに参考にしていただきたい豆知識を紹介します。
NG例も説明しますので、「こんなはずじゃなかった!」なんて失敗も避けられます。
この記事を参考に、あなたの事業にぴったりな屋号を考えてもらえると嬉しいです。
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屋号をつけたいフリーランスがはじめに知っておくべきこと

はじめに、屋号をつけるメリットや、使う場面についてお伝えします。
屋号をつけるメリット
屋号をつけるメリット、それは何といっても「事業をブランド化できる」ことです。
「あなた」という個人が前面に出るのではなく、あなたがおこなうビジネスそのものを際立たせることにもなりますし、屋号の持つイメージから、ビジネスの中身や理念などのブランドイメージを示すことも可能です。
ブランドとして事業活動すれば、次のような発展形が期待できます。
- ビジネスの実績を一貫した履歴としてまとめ、提示することができる。
↓ - 実績が蓄積すると、信用を得られる。
↓ - ブランドとしての価値が上がる、知名度が上がる。
といったように、継続的に事業を行いやすくなります。
また、屋号で銀行口座を作れば、ビジネスとプライベートのお金の流れを分けることもできます。
屋号をつけておくと、ゆくゆくは法人化することになったとしても、フリーランスで行ったビジネスの実績や信用を引き継ぐことができますので、スムーズな移行が可能です。
業務上で屋号を使う場面
業務上で屋号を使う媒体には、次のようなものがあります。
- 看板
- 名刺
- 銀行口座名義
- レターヘッド
- ハンコ
- 領収書
- 請求書類(見積書、納品書、請求書)
- 包装紙
簡単に挙げただけでも、これだけ屋号が露出する場面があるのです。
このことを念頭に置いて、自分の職種や事業内容に合ったイメージの言葉、文字数、響き、見た目の屋号を考えていきましょう。
屋号を登録する方法3つと目的の違い
屋号を登録するには、開業届に記入して、納税地の税務署に提出するだけです。
会社とちがい、登記する必要はありませんし、そもそも屋号の登録も義務ではありません。
また、登録はできても、屋号の独占権が法律で保護されるわけではないので、他社にマネされて同じ名称を使われてしまった場合には、それを止めることはできません。
もしも将来的にブランドとして価値を高めていきたいと考えているなら、商号登記や商標登録を検討しましょう。
ここから、開業届による登録と、商号登記、商標登録の手続きや法的効力について説明しますね。
税務署への屋号登録「開業届」
先ほど紹介しましたように、屋号の登録自体は開業届に記入して税務署に提出するだけで完了します。費用もかかりません。
また、屋号が決まっていない場合は、開業届の屋号記入欄を空白のまま提出しても、問題ありません。
後から屋号を決め、確定申告書に屋号を記入することもできます。
確定申告書で屋号を登録する場合も、費用はかかりません。
なお、これらの方法によって登録した屋号には、他者の使用を抑止するような法的拘束力はなく、あくまで税務署の管理用に登録することになっているだけ、とご理解くださいね。
法務局への屋号登録「商号登記」
屋号は、法務局へ「商号」(法人でいうところの社名)として登記することができます。
ただし、保護されるのは「同一住所に同じ商号を登録することは認められない」(同一商号同一本店の禁止)という程度にすぎません。
同じ商号を他の人に使わせないようにするのが目的ではなく、ある場所で商号を掲げて事業を行っている、会社または個人事業主がいますよ、と宣言することを法的に認めるだけの措置と理解しましょう。
ですから、商号登記によって商号を独占できるわけではありません。
でも、「法務局に屋号が登録されている」というところで、社会的な信用度は増すといえるでしょう。
法人と取引をするときに登記事項証明書の提出が求められることがありますので、その機会に手続きを検討してはいかがでしょうか。
なお、商号登記の手続きには、時間と費用がかかります。
登録免許税3万円の登記費用や、個人の実印と印鑑証明書も必要です。
申請から登記完了までは、約1週間かかります。
特許庁への屋号登録「商標登録」
屋号は、商標として登録することで、強力に保護することが可能になります。
商標とは、事業者が自身が取り扱う商品やサービスを、他者の商品やサービスと区別するために登録するものです。
登録した商標は「商標権」という知的財産権を持ちますので、他人が勝手に使用した場合は権利侵害として、損害賠償を請求したり、使用の差し止めを求めることができます。
日本全国のどこにおいても、効力を発揮します。
ただし、商標は対象となる商品やサービスと関連付けて登録するものなので、全ての物事に対して屋号と同じ名称を使用できないようにすることはできません。
また、商標の登録には、出願料や登録料の費用がかかります。
出願料は12,000円以上、登録料は32,900円以上になりますし、10年ごとの更新費用も発生します。
しかも、商標登録の手続きは、事前調査や申請書類の作成などの難しい作業が多いため、専門家に依頼すると更に費用を要します。
屋号は複数取得できる?
複数の事業がある場合は、一つ一つの事業に対して、別々の屋号をつけることが可能です。
わかりやすい例でいえば、不動産業とカフェを経営している人が、「〇〇不動産」という屋号でカフェを開いたら、違和感がありますよね。
新しく屋号を追加したい場合には、また改めて開業届を提出します。
屋号欄に屋号とフリガナを記入し、「その他参考事項」の欄に「屋号の追加登録」などと書いて提出すれば、登録手続きが完了します。
屋号は変えてもいい?
屋号は変更可能です。
変更の手続きも必要ありません。
途中で変更する場合は、変更後に初めて出す確定申告書に、変更後の屋号を記入します。
屋号変更の履歴を残したい人は、開業届を再提出しましょう。
「その他参考事項」の欄に、「屋号の変更」と記入します。
もしくは、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する方法もあります。
通常は、住所などが変わった時に提出する届出書ですが、屋号の欄に変更後の屋号を記載します。
この場合も、その他参考事項の欄に「屋号の変更」と説明書きを加えて提出すると良いでしょう。
ぶっちゃけ屋号はつけなくてもいい
実は、個人事業主は、必ずしも屋号をつけなくてはいけないわけではありません。
無理につけなくても、開業届の屋号欄を空欄で申請することができますし、確定申告もできます。
実名で仕事を受注することも可能です。
ですから、「気に入った屋号が見つかるまでは、あえて屋号をつけない」という人もいます。
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フリーランスの屋号のつけ方Q&A

屋号に関して、まだまだ気になることはたくさんあると思います。
ここからは、屋号の付け方でよくある質問にお答えしていきます。
店名、事務所名を使うべき?
屋号は事業に対してつけてもいい物なので、屋号と店名や事務所名が違っていても、問題はありません。
ただ、お客様に覚えてもらうには、店名と屋号が一致しているほうが良いともいえます。
あるいは、展開する商品やサービス名を屋号にするという方法もあります。
何をアピールしたいかによるでしょう。
ペンネームを使ってもいい?
作家や芸術家など、個人の才能やパーソナリティーにネームバリューがある場合は、ペンネームを屋号にしてもよいでしょう。
ニックネームを使う人や、ニックネームと職業名を組み合わせたりする人もいます。
旧姓を使いたいんですが?
もちろん、旧姓も使えます。
旧姓でフリーランスとしてキャリアを積んできた場合は、そのままの名前で仕事を続けたいでしょうし、顧客とのつながりの面でも便利なことも多いです。
英数字を入れてもOK?
英数字を入れた屋号も使えます。
ただ、なじみのない文字や外国語だと、覚えてもらえなかったり、すぐに忘れてしまうかも。
それに、つづりを間違えて、ネット検索しても出てこない、なんてこともあるでしょう。
一方で新しい兆しも見えてきています。
若い世代の個人事業主には、外国語や英数字を好んで使う人が増えています。
お客の層として若い年代をターゲットにしているなら、屋号も今風に自由につけてもいいかもしれません。
ちなみに、記号を入れることも可能ですが、一文字目に記号を入れることは一般的ではないので、やめておきましょう。
屋号に適切な長さは?
屋号が長いと、覚えにくくなってしまいます。
覚えやすさからいえば、短くシンプルなものがよいです。
語感や語呂と合わせて、検討してみてください。
一般的には、3~4文字が覚えやすく、社名や屋号に使われることが多いようです。
業務内容がわかる名称がいい?
業務内容がイメージできる屋号にしておくほうが、メリットは多いです。
地図上であなたのお店や事務所を見つけた人が、仕事を依頼しに訪ねてくる、なんてことも起こり得ます。
他と似ている屋号でも大丈夫?
屋号に独占権はないので、他と似ている屋号となってしまう場合もありますが、同一住所でなければ、同じ屋号を使うことも問題にはなりません。
ただ、間違えられやすかったり、真似していると思われたり、というマイナス面もあるでしょう。
また、インターネットのドメインを取得しようとしたときに、同じような名前の多い屋号だと、ドメインが取れないなんてこともあります。
なお、後ほどご紹介しますが、商号登記や商標登録されている屋号を使うと、同じ屋号が同一地域に存在した場合は、お客様を混乱させたり、不正競争防止法や商標法に抵触したとして、損害賠償を求められることもありますので、要注意です。
フリーランス必見!「こんな屋号はNG」
屋号を決めるなら、読みやすさ、呼びやすさ、覚えやすさ、がポイントです。
そして、明るい印象や好感を持たれる名称が良いという、わりとふつうな結果に落ち着くことが多いです。
中にはインパクトを狙って功を奏した、というケースもありますが、奇をてらいすぎてはいけません。
以下に、問題となる例を紹介します。
法人格を示す名称(フリーランスの場合)
屋号はあくまでも個人事業主につける名称です。
フリーランスでありながら、「株式会社」や「社団法人」などの法人格を示す名称をつけてはいけません。
また、Inc.、Co. Ltd.、なども同様です。
このほか、「銀行」や「証券」などの特定業種を示す名称も使えません。
すでに商号登記してある名称
商号登記や商標登録されている屋号と、ご自分の屋号がかぶってしまった場合、お客様を混乱させるような紛らわしい名称をつけたとして、不正競争防止や商標法の違反で訴えられ、損害賠償を求められることもありますので、気をつけましょう。
屋号をつける前に、インターネットや法務局で、同じような商標や商号が登録されていないか、また、同一地域に同じ名前や似た名前のお店などがないか、調べておきましょう。
参考:法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
国税庁「法人番号公表サイト」
社会的にマイナスなイメージのある名称
たとえインパクトがあっても、社会的にマイナスなイメージのある名称は避けましょう。
やはり、社会的にも信用が得られる名前がベターです。
極端に長い名称
覚えやすい文字数は3~4文字と言われています。
ですから、よほど有名な言葉だとか、興味を引くエピソードに関連した名称だとか、語呂や語感が面白いものでない限りは、長い名前では覚えてもらえません。
税務署から目を付けられてしまう屋号
これは、名づけ方ではなく、同一住所で複数の屋号を持つ場合の注意事項です。
住まいを事務所にしている場合、同居する家族も別の屋号で事業を行っており、複数の屋号でそれぞれに事務所賃料や光熱費を控除していると、税務署から二重帳簿の疑いをかけられますので、留意しましょう。
縁起が良いとされる屋号の特徴
姓名判断と同じように、屋号や社名も縁起をかつぎたくなるもの。
屋号にまつわるジンクスやイメージを紹介します。
画数、文字数
5、7、8、9、15、17は縁起の良い画数であるといわれており、これらの画数に相当する屋号や社名には、ソニー、イオン、ローソン、ユニクロ、セブンイレブン、楽天などがあります。
また、文字数3~4は語呂が良くて、覚えやすいといわれています。
ヒットするといわれている音
コーヒー業界の濁音(スターバックス、タリーズ、boss)や、芸人コンビ名の「ン」(ダウンタウン、ナインティナイン)がつく屋号は、ヒットするといわれています。
その他にも、濁点(゛)や半濁点(゜)がつくと、インパクトがあり、耳に残りやすいとする説もあります。
濁音では力強さ、半濁音では面白さや楽しさを、人は感じるようです。
同様に、カ行は発音するときに「ック」と、一度のどで音を詰まらせてから発するため、スピード感が出ます。
サ行はさわやかな印象、タ行は力強さ、ナ行は親しみやすさ、ハ行はふわふわほんわかした感じ、マ行は甘えたくなるような安心感のある感じ、ヤ行はやわらかくゆったりしたイメージ、ワはエネルギーが勢いよく広がるような感じ、といったように、発音一つ一つにイメージがあります。
あなたの事業のイメージには、どんな音が似合いますか?屋号の響きがサービスのイメージとリンクするように、音選びにこだわってみてはいかがでしょうか。
まとめ
屋号について、実務面から名づけ方のポイント、避けたほうが良いポイント、ジンクスを紹介しました。
ご自分の事業につける屋号のイメージは湧いてきたでしょうか?
まず、屋号は看板や名刺、書類やハンコ、銀行口座名義など、ビジネスシーンのあらゆる場面で人目に触れることをお伝えしました。屋号は、ブランドイメージを伝えるのにとても有効かつ重要とわかりましたね。
また、屋号の登録方法や、変更方法をお教えしました。
併せて、屋号はいくつ作ってもいいし、逆につけなくてもいいことも覚えていただけたと思います。
屋号のつけ方としては、次のようなつけ方があることも紹介しました。
- 店名、事務所名
- ペンネーム
- 旧姓
- 英数字の入った名称
- 覚えやすいのは3~4文字
- 業務内容が分かる名称のほうがいい
- 他と似ていても、問題はない。
逆に、NGな屋号もありました。
- 「会社」、「Co.」など法人格を示す名称や、「銀行」など特定業種の名称
- 商号登記または商標登録済みの屋号
- 社会的に悪いイメージがある
- 長すぎる
最後に、縁起の良い屋号の特徴もご紹介しました。
- 画数は5、7、8、9、15、17
- 濁点や半濁点は耳に残りやすい
- 五十音別に音のイメージがある
いかがでしょうか。
イメージが固まってきましたか?
屋号は長く使うものですから、まず自分が愛着を持って、わくわくしたり、元気が出たり、安心したり、幸せを感じられる名称を見つけてください。
それがきっと、あなたにとってベストの、個性が光った屋号になるはずです。