社会人になると、会社から定期的に「目標」や「課題」を問われる機会がありますよね。
この目標と課題の違い、「いまひとつピンとこない・・・」ということはありませんか?
この記事ではその違いを解説していきます。
また、今回は課題と目標の違いを踏まえたうえで
- 課題と目標を書き分けた正しい目標設定
- 課題と目標の違いを明らかにした目標例
- 目標設定の精度を高めるコツ
もお伝えしていきます。
記事を読むことで、上司から「やるな、こいつ」と思ってもらえるような、ワンランク上の目標設定ができるようになりますよ。
ぜひ、目標設定をするときの参考にしてくださいね。
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【図解】目標と課題の違い
似ているようで異なる「目標」と「課題」。
まずは図で目標と課題の関係を見てみましょう。
「目的」「目標」「課題」の意味するところがそれぞれ違うことがわかりますね。
まずはそれぞれの違いを把握することからスタートしましょう。
「目標」はゴール(目的)までのステップ
上の図を見ても分かるように、「目標」は目的に到達するためのステップです。
「目的」は最終的なゴールであり、会社という大きなくくりで見れば企業ビジョンがそれにあたりますし、個人の単位なら「こうなりたい」という自分の将来像といえます。
「目的」が長期的に実現を目指すものであるのに対して「目標」は短期的に達成すべきことであるというのも大きな違いです。
読んで字のごとく「目標」は目的までの「標(しるべ)」。
ゴールに向かう通過点に置く目印ですので、段階的であり具体的な内容でなければなりません。
「課題」は目標達成のためにすべきこと
「課題」は目標達成のために取り組むべき事柄です。
山登りに例えてみましょう。
目的:富士山(標高3,776m )の登頂に成功する
目標:6合目(2,450mまで登る)・7合目(2,750mまで登る)・8合目(3,350mまで登る)・9合目(3,570mまで登る)
課題:5〜6合目(50分で登る)・6〜7合目(1時間で登る)// 中略 // 9合目~頂上(30分で登る)
「目標」は山頂に向かう途中に設けられた小さな到達地点。
まさにゴールまでのスモールステップです。
それを達成するためには、適切な登山計画が「課題」となります。
「目標」と「課題」なぜ使い分ける?
会社に提出する「目標設定シート」の書き方に戸惑う人は少なくありません。
そもそもなぜ目標と課題を分けて考える必要があるのでしょうか?
「目標」と「課題」を使い分けるメリット
「目標」と「課題」の違いを明らかにして目標が設定できると以下のようなメリットがあります。
- 目的(ゴール)までの道のりが明確になる
- 目標から課題を考えると行動に移しやすくなる
もし、目標と課題の区別が曖昧になっているのなら、目標を上手く導き出せていないのかもしれません。
差し当たり身近な問題解決を目標や課題に設定しようとしていませんか?
たとえば、「資料作成が遅い」という問題点を克服することが先に立つと、「短時間で資料を作成できるようにする」というのが目標なのか課題なのか分からなくなってしまいます。
具体策が曖昧なうえに、そこからどこに向かうのかゴールも曖昧ですよね。
先程の山登りの例を思い出してください。
ゴールに向かうスモールステップが目標でしたね。
例えば「従業員の労働生産性の向上」という企業単位の目標からさらに個人目標に落とし込んでみます。
- 業務効率を上げる
- 業務ミスを減らす
- 協力関係を築く
- 業務に必要なスキルを上げる
「業務効率を上げる」という目標を取り上げてみましょう。
その達成には以下のような課題が考えられます。
- 優先順位の明確化
- 資料作成の効率化
- 期日を意識したタスク管理
- 情報を共有した協力体制
「短時間で資料を作成する」のは課題のひとつだということが明らかになりました。
いかがでしょうか?
「目標」をゴールに向かう道しるべとして、「課題」で具体策を明確にする。
このように目標と課題を上手く使い分けることで、行動に移しやすくなり着実に目的への歩みを進められるようになります。
「目標」と「課題」を使い分けた例
「〇〇という目標を達成するために→△△が課題になる」という目標と課題の関係を、さらに具体的に見ていきましょう。
職種や働き方にかかわらず、目標と課題の違いが明確な目標設定は仕事の質を上げるのに役立ちます。以下の例を参考にしてください。
目標:営業成績を上げる
課題:成約率の向上/営業効率UP
目標:WEB経由の売上を伸ばす
課題:リスティング広告の見直し/LPの改善/SNSのフォロワー数UP
*LP(ランディングページ)とは、商品の購入や申し込みに特化した縦長1枚のWEBページ
目標:離職率を減らす
課題:個人面談の内容改善/研修内容の見直し/社員の適性と希望を考慮した人事異動
目標:案件の受注数を増やす
課題:ポートフォリオのブラッシュアップ/営業方法の見直し/1案件にかかる作業時間の短縮
目標:リピーターを増やす
課題:従業員の接客マナー見直し/イベントの工夫/Instagramの活用/競合店のリサーチ
いくつか具体例を参考にすると、「目標」と「課題」の違いがはっきりしてきますね。
同じ要領で自分の仕事に置き換えて考えてみましょう。
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正しい目標設定5つのステップ
着実にゴールに向かうには、正しく目標を立てなければなりません。
ここでは目標設定の仕方を5つのステップで紹介します。
Step1.目的を把握する
ゴールが曖昧だと目標や課題が決まりません。
自分が携わる事業の「目指すところ」を把握しておく必要があります。
「目的」は最終的に達成したいこと。
簡単には到達できない長期的で大きなものです。
ここで再度、企業のビジョンを見直してみてください。
組織に所属していない人やフリーランスの人は、自身の事業の意義を振り返りましょう
「その仕事で何を目指しているのか」がそれにあたります。
「〇〇の事業で△△の発展に貢献する」「〇〇の事業によって△△な社会を築く」
「〇〇の事業で△△を実現する」「〇〇の仕事を通じて△△な人の助けになる」
ここを見誤ると、これから先の目標設定が的外れな方向に向かってしまうので要注意。
企業や事業が向かう先と自分が目指す方向を揃えるための重要なステップです。
Step2.目的から逆算して段階的に目標を定める
会社員の場合は、企業が掲げる大きなビジョン(事業目的)を個人ベースの目標に落とし込む作業が必要です。
たいていの場合、すでに「部署」や「課」の単位までは目標が設定されていますので、それに従って個人の目標を定めていきます。
フリーランスの場合は、自分の事業が目指す大きなテーマに沿って目標を設定します。
「目標」は目的に向かうスモールステップだと前にお話ししましたね。
そのため、事業の目的(あるいは所属部署の目指すゴール)からの逆算でなければなりません。
もしこの作業を難しく感じるなら、自分の役割を正しく把握できていないのかもしれません。
これを機に「目的」に立ち返ってみると、自分の立ち位置や、すべきことが明らかになって目標設定がスムーズになりますよ。
目的から個人目標を導き出す例を見てみましょう。
企業の事業目的:「自社の商品を通して、食の楽しみと健康をより多くの人々に提供する」
↓
営業部のチーム目標:「前年比を上回る売上」「市場シェアの拡大」「認知向上」
↓
個人の目標:「既存顧客の取引継続・拡大」「新規顧客のコンスタントな開拓」
個人の目標が企業が目指す最終ゴールとリンクしていますね。
Step3.目標と現状のギャップ(問題)を認識する
目標を設定したあとは、現状とのギャップに目を向けます。
現状が理想に及んでいない理由は何でしょうか?
その原因(問題点)を考えることが「課題」を導き出す前に欠かせないステップです。
先ほどの例を思い出してみましょう。
現状の問題点を整理し、解決すべきことを具体的にしていきます。
「前年比を上回る売上」「市場シェアの拡大」
「既存の顧客の取引継続・拡大」「新規顧客のコンスタントな開拓」
「既存の顧客の取引継続」は売上向上の戦略としては弱いですが、現状を維持しないことには売上が落ちてしまうので軽視できません。
いつまでも既存の顧客頼りというわけにはいきませんので、「新規顧客の開拓」をしてチーム目標に貢献しようと考えたわけです。
ここで現状とのギャップを整理します。
- 取引先の担当者が代わったため、取引自体を見直される可能性がある(取引の現状維持が危ぶまれている)
- 担当エリアの企業に片っ端から営業に出向いているが結果につながらない(飛び込み営業が全く実を結んでいない)
現状つまずいていることを可視化すると問題が浮かび上がってきますね。
問題点の中にこそ解決のヒントがあるので、目を逸らさずに向き合うようにしましょう。
Step4.ギャップを埋めるのに必要な課題を洗い出す
問題点が明らかになったら、「課題」を洗い出していきます。
「課題」とは目標達成のために取り組むべき事柄でしたね。
目標達成を阻む問題の解決策を考えていきます。
再び先ほどの例を取り上げて「課題」を挙げていきましょう。
- 取引先の担当者が代わったため、取引の現状維持が危ぶまれている
- 飛び込み営業をしているが結果につながらない
これらの問題解決のために取り組むべきことは以下のとおりです。
1.取引の継続
2.信頼関係の再構築
3.成約率の向上
4.営業効率UP
目標までの道筋がだいぶ見えてきました。
目標を着実に達成するにはあともう一歩です。次を見ていきましょう。
Step5.具体的な行動計画(手段)まで落とし込む
課題は具体的であればあるほど実行しやすくなります。
先程の課題を行動計画(手段)まで明らかにして設定してみましょう。
1.取引の継続に向けた行動計画
競合商品についての知識を深めて、自社商品の優位性や市場の評価、取引実績などを数値で示せるように準備する
2.信頼関係の再構築に向けた行動計画
担当者の趣味や好みなど共通の話題を探ってコミュニケーション力を高める
3.成約率の向上に向けた行動計画
先方のニーズに合わせた商品アピールができるようにセールストークを磨く
4.営業効率UPに向けた行動計画
中期的な視点で見込みのある企業を新規開拓先としてリストアップし、優先順位考える
かなり「やるべきこと」が具体的になりましたね。
このように行動計画がリスト化されると、ひとつずつクリアしたくなるものです。
課題を設定する際は、「目標」を行動計画まで因数分解していきましょう。
目標設定の精度を高めるコツ
目標設定の流れがわかったところで、より効果的に目標を設定するためのコツを押さえていきましょう。
SMARTの法則に沿って設定してみよう
適切な目標を設定するのはなかなか難しいものです。
そこで助けになるのが「SMART」と言われる法則。
目標設定の際の指標になるので、世界中で使われています。
以下の項目を意識して目標設定の精度を上げましょう。
先程の例を再度取り上げて、この法則に沿って目標の精度を上げてみます。
「自社の商品を通して、食の楽しみと健康をより多くの人々に提供する」
「前年比を上回る売上」「市場シェアの拡大」「認知向上」
「既存顧客の取引継続・拡大」「継続的な新規顧客の開拓」
SMARTの法則を取り入れてみましょう。
大まかだった目標が、より具体性を増して「道しるべ」としての精度が上がりましたね。
「前年比を上回る売上」→「今年度の商品Aの売上を前年比120%にする」
「市場シェアの拡大」→「〇月までに市場での占有率を△%にする」
「顧客の取引継続・拡大」→「取引を継続して前年比100%以上の売上をキープする」
「新規顧客のコンスタントな開拓」→「顧客を毎月2社以上新規獲得する」
目標が明確だと、目標達成のための課題を導き出しやすくなります。
同じ要領で課題設定にもSMARTを意識して具体的な数字や手段を取り入れてみてください。
「ちょっと背伸び」くらいの目標にしよう
「ストレッチ目標」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「少し背伸びしなければ届かない目標」を意味します。
人材育成に効果があることから、多くの企業が従業員に推奨している目標難易度の目安です。
SMARTの法則には「Achievable:達成可能」という項目がありましたね。
もちろん、実現不可能な目標は避けるべきですが、たやすく達成できてしまう目標も問題です。
簡単にクリアできることには達成感を感じませんし、自分自身の成長を実感することもありません。
「今の実力では及ばないけれど、少し努力すれば達成できる」というレベルに目標を設定しておくと以下のようなメリットが得られます。
- 達成感が上がる
- スキルが上がる
- チームの生産性が上がる
- 自分の評価が上がる
これらがモチベーション向上の源になり、自然と目標をクリアしたくなるはずです。
「目標」は人から強制されると「義務」になるので途端にやる気を失います。
行動したくなるように自ら仕向けるというのもコツです。
ゲーム感覚で楽しめるようになると、掲げた目標を負担に感じなくなりますよ。
目標の数を3~5個に絞ってみよう
数を絞るというのも目標を設定するときのポイント。
Google社では社内でチーム目標を3~5個に絞る取り組みをしています。
目標が多すぎると集中力を欠くというのがその理由です。
ゴールに向かう道しるべとなるはずが、いろいろな目標があちらこちらに点在していたら気が散るうえに迷子になりかねません。
目標達成における最大の障害は「ほかの目標の存在」ともいわれているのです。
目標同士で足を引っ張りあっては元も子もないので、もし3〜5個が多いと感じるなら1つに絞っても問題ありません。自分にとって努力すれば実現可能な数であることが重要です。
つまり、ここで大事なのが目標数の絞り方。
目標を複数書き出し、優先順位をつけて数を絞っていきます。
優先順位がわからない場合は、「時間管理のマトリクス」の手法を使ってみましょう。
時間管理のマトリクスとは、物事の緊急性と重要性を軸に優先順位を付ける方法です。
このような図を見たことはありませんか?
重要度の高いものから順位をつけていきます。
1位:緊急で重要
2位:緊急ではないが重要
3位:緊急だが重要ではない
4位:緊急でも重要でもない
現時点で緊急度・重要度ともに低い目標はリストから外していき、優先順位が最も高い目標に注力するのが成功の秘訣です。
例から学ぶ「目標と課題の違いを明らかにした書き方」
「目標」は目的から導き出した道しるべであること、「課題」は目標達成に必要な事柄でしたね。
正しい目標設定にするにはできるだけ具体的であることも成功のコツでした。
「目標(何のために)」と「課題(取り組むべきこと)」が明確であることが大事です。
課題をクリアするための行動計画まで明らかになっていると具体性が増します。
ここでは「目標と課題を使い分けた例」で紹介したものに、数値や期限を加えてより具体的に記した例を紹介していきます。
会社から評価される目標設定の書き方
会社が自分に何を求めているのか、その役割を押さえて目標設定をすることが評価を上げるポイントです。
目標:営業成績を上げる
課題:商品知識の向上/営業効率UP
♦目標 「毎月2社以上の新規顧客を獲得する」
♦課題→行動計画
1.成約率の向上→商品の優位性や市場評価、取引実績を数値化してPowerPointで資料を作り直す。先方のニーズに合わせた商品アピールができるようにセールストークを磨く
2.営業効率UP→中期的な視点で見込みのある企業を新規開拓先としてリストアップする。優先順位の高い企業から営業に出向く。
目標:WEB経由の売上を伸ばす
課題:リスティング広告の見直し/LPの改善/SNSのフォロワー数UP
♦目標 「WEBからの受注率を〇%上げて月間売上1,000万円を達成する」
♦課題→行動計画
1.リスティング広告の見直し→リスティング広告のキャッチコピーとデザインを改善する。運用結果を分析し、SEOを意識してABテストを実施する
2.LPの改善→ターゲティングを見直す。購入者の属性を分析してLPのファーストビューに修正を加える。
3.SNSのフォロワー数UP→投稿頻度を上げてキャンペーン情報やお役立ち情報を発信し、〇月までに500人増やす
目標:離職率を減らす
課題:個人面談の内容改善/研修内容の見直し/社員の適性と希望を考慮した人事異動
♦目標 「今年度の離職率を10%未満におさえる」
♦課題→行動計画
1.個人面談の内容改善→従業員の不満やストレスを正しく把握するために面談内容を見直す。個人面談に使うヒアリングシートを作成して各部署リーダーに周知する
2.研修内容の見直し→社員のモチベーションが上がる研修内容にブラッシュアップする。研修の内容と実施形態について具体的なアイディアを〇月の会議で提案する。
3.社員の適性と希望を考慮した人事異動→社員の希望をヒヤリングするための仕組みを見直す。目標管理に基づいた公平な人事評価を実施するために目標設定シートを改善する。
個人のスキルアップに役立つ目標設定の書き方
適切な目標設定は、会社から提出を求められることがない職種に就いていたとしても無関係ではありません。
むしろ積極的に取り入れて、自身の成長過程を可視化することでスキルアップに役立てましょう。
目標:案件の受注数を増やす
課題:ポートフォリオのブラッシュアップ/営業方法の見直し/1案件にかかる作業時間の短縮
♦目標 「クラウドソーシングでの受注案件数を月あたり〇件増やす」
♦課題→行動計画
1.ポートフォリオのブラッシュアップ→クライアントのニーズに合ったポートフォリオに改善する。
2.営業方法の見直し→過去の取引先に再アプローチして受注の可能性を広げる。定期的にメールを送り関係が途絶えないようにする。
3.1案件にかかる作業時間の短縮→デザインソースのストックとツールを活用して作業効率を上げる。
目標:リピーターを増やす
課題:従業員の接客マナー見直し/イベントの工夫/Instagramの活用する/競合店のリサーチ
♦目標 「リピート率20%を30%に上げる」
♦課題→行動計画
1.従業員の積極マナー見直し→全従業員に対してマナー研修の受講を徹底する。
2.イベントの工夫→季節感のあるイベントを企画する。ハロウィンシーズンに向けてイベントの企画を7月中に練る。
3.Instagramの活用→インスタ映えする写真の撮り方を学んで投稿頻度を上げる。新メニューの紹介をする。
4.競合店のリサーチ→近隣の競合店に足を運んで違いや優れた点を分析する。
設定してからが重要!目標設定のあとにすべきこと
目標を設定したら、あとは実行あるのみ。
どれだけ達成に向けて行動できるかが重要です。
ここでは、目標達成の過程ですべきことを見ていきます。
達成できたか振り返ろう
定期的に自分の行動と達成具合を振り返りましょう。
ときには課題の見直しや目標の軌道修正が必要な場合もあります。
「振り返り」は「できなかったことを反省する」といったネガティブな行為ではないので安心してくださいね。
身構えずに、自分を成長させる手段として前向きに取り組みましょう。
「振り返り」によく使われるフレームワークを3つ紹介します。
- YWT「やったこと・わかったこと・次にやること」
- KPT「Keep・Problem・Try」
- PDCA「Plan・Do・Check・Act」
「YWT」
日本能率協会コンサルティング(JMAC)が開発した振り返り手法で、「やったこと・わかったこと・次にやること」の頭文字を取った名称で親しまれています。
Y:やったこと(実践したことを可視化する)
W:わかったこと(気付いたことを整理する)
T:次にやること(次の計画や行動に反映させる)
「やったこと」「わかったこと」「次にやること」を書き出しましょう。
Y→W→Tの3ステップで自らの成長を促すのが「YWT」の特徴です。
参考:日本能率協会コンサルティング[JMAC]「YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)」
「KPT」
日本では「KPT(ケプト)法」という呼び名で親しまれ、「振り返り」が必要なシーンでよく使われています。
コンピュータサイエンティストのAlistair Cockburn氏が提唱した「The Keep/Try Reflection」をもとに、日本独自の形に発展させていったものです。
Keep:継続(良かったこと、今後も続けること)
Problem:問題(困ったこと)
Try:挑戦(これから試したいこと)
- 3つの項目をリストアップ
- 「Keep」で出てきた「継続したい事柄」の改善案を「Try」に記載
- 「Problem」で出てきた「問題」を解決する策を「Try」に記載
個人でもチームでも使うことでき、ビジネスシーンにもプライベートにも有効活用できる万能なフレームワークです。
PDCA
言わずもがなよく知られた手法ですね。
アメリカの統計学者William Edwards Deming博士とWalter Andrew Shewhart博士によって1950年代に発案され、品質管理や業務改善の手法として日本企業でも多く取り入れられてきました。
Plan:計画(目標を設定し行動計画を立てる)
Do:実行(行動計画を実行する)
Check:測定・評価(結果を検証・分析して問題点を洗い出す)
Act:対策・改善(改善策を講じ、業務を改善する)
P→D→C→Aをスパイラルを描くように繰り返すため、「PDCAサイクル」とも呼ばれます。
業務改善や施策の立案に有効とされていますが、世の中の変化に迅速に対応するため、昨今ではDCAP(Do→Check→Action→Plan)と順序を入れ替える工夫も広く知られるようになりました。
ほかにも時代の流れとともにPDCAを改善した新たな手法が誕生していますが、「目標設定後の振り返り」にはPDCAのサイクルがマッチするのでおすすめです。
課題解決力を鍛えよう
「SMART」をはじめここまでに紹介したいくつかのフレームワークは、目標・課題の設定の助けになりますが、最終的に目標を達成できるかどうかは「課題解決力」にかかっています。
- 課題の正しい抽出
- 原因の分析
- 的確な改善策の立案
- 解決まで導ける実行力
場数を踏むことでおのずと課題解決力は鍛えられていきますが、日頃から以下のスキルを意識して磨くようにしましょう。
- 論理的思考力
- 批判的思考力
- 行動力
- コミュニケーション能力
論理的思考力
物事の因果関係を正しく把握し、順序立てて情報を整理できる能力。
問題の分析や改善策の立案に必要です。
日頃から「なぜ?」という疑問や「何のために?」という問いを持ち、考えを巡らせることで論理的に考える癖がつきます。
考えをまとめる際はできるだけ具体的な言葉を使いましょう。
人に伝えるときは事実に基づき、できるだけシンプルに論理を展開するのがポイントです。
批判的思考力
自論を客観的・批判的に分析することで物事を多角的に捉える能力。
合理的な判断をするのに必要です。
自分の考えの正当性をあえて「疑ってみる」ことで柔軟な思考ができるようになります。
先入観や固定概念を持っていることを自覚し、対立する意見にも耳を傾けましょう。
他の可能性を意識することで考えが極端に偏るのを防ぎ、アイディアの幅がひろがります。
行動力
課題として掲げた行動計画を素早く実行に移す積極的な姿勢。
重要なのは「やってみよう」というチャレンジ精神と、失敗から学ぶ能力です。
「ストレッチ目標」で紹介したように、行動したくなるような仕掛けを自ら作ってチャレンジするモチベーションにしましょう。
失敗はモチベーションを下げたり、自信をなくしたりするようなものではありません。
「振り返り」で説明したように、「行動した結果」として客観的に分析・改善することに意識を向けるのが大事です。
分析・改善には先ほどの論理的思考力と批判的思考力を発揮しましょう。
PDCAサイクルを高速でまわす行動力があると成長スピードも上がります。
コミュニケーション能力
相手の意図を正確に汲み取り(聴く力)、自分の意見や考えを相手に理解してもらう(伝える力)ことができれば、スムーズな意思疎通で相手との信頼関係を築けます。
ビジネスシーンでは課題解決のために同僚や上司に協力を仰いだり、取引先と交渉したりするのに求められる能力です。
日頃から周りの人と言葉を交わすことを心がけ、情報を共有する習慣をつけましょう。
身構えず、言葉遣いや態度を見直すことが第一歩です。
「聴く力」を鍛えるには、適度なミラーリング(相手の表情や仕草、声のトーン、話のテンポなどを真似る)やパラフレーズ(相手の話した内容を要約して確認する)などが有効とされています。
「伝える力」を伸ばすには、論理的思考を意識して結論から話すようにしたり、エレベータートーク(数十秒から1分程度の短時間で要点を伝え、相手の関心を掴む)ができるようにしたり、論点を簡潔にまとめる練習が効果的です。
目標と課題の正しい設定は「未来の自分」へのロードマップ
「目標」と「課題」の違いについて掘り下げながら、目標設定の流れと目標達成のコツを解説してきました。
目標と課題を混同しがちだった人も、今は少し理解が深まったのではないでしょうか。
目標・課題をそれぞれ視覚化して、自分の成長スピードを実感してみてくださいね。
ここまでの内容をおさらいしておきましょう。
- 目標:最終ゴールである「目的」に到達するまでのステップ
- 課題:目標を達成するために取り組むべきこと
目標と課題の違いを明確にすることで以下のメリットが得られます。
- 目的(ゴール)までの道のりが明確になる
- 目標から課題を考えると行動に移しやすくなる
正しい目標設定にするために、次の5つのステップを踏みましょう。
Step1. 目的を把握する
▼
Step2. 目的から逆算して段階的に目標を定める
▼
Step3. 目標と現状のギャップ(問題)を認識する
▼
Step4. ギャップを埋めるのに必要な課題を洗い出す
▼
Step5. 具体的な行動計画(手段)まで落とし込む
目標設定の精度を高めるために以下の3つのポイントを押さえるのがコツです。
- 「SMART」の法則に沿って設定する
- 「ストレッチ」目標を設定する目標難易度の目安にする
- 優先順位をつけて目標の数を絞る
肝心なのは目標を設定したあとですので、成果を振り返るために以下のフレームワークが役立ちます。
- YWT「やったこと・わかったこと・次にやること」
- KPT「Keep・Problem・Try」
- PDCA「Plan・Do・Check・Act」
課題解決力を鍛えるためには以下の力を伸ばしましょう。
- 論理的思考力:日頃から「なぜ?」と思考を巡らせ、具体的な言葉で考えをまとめる
- 批判的思考力:自分の考えを批判的に客観視し、先入観や固定概念にとらわれない
- 行動力:行動計画を実行に移すモチベーションと失敗を次に活かすスキルを上げる
- コミュニケーション能力:「聴く力」と「伝える力」を磨く
目標と課題の正しい設定は「未来の自分」へのロードマップ。
「気づいたらずいぶん成長していた」と振り返ったときに実感できるのが理想ですね。
さっそく目標と課題の違いを意識して、一皮むけた目標設定を目指してみましょう。
チームや部署で目標を管理する場合は日報を導入するのもよいでしょう。
参考サイト:低価格で導入しやすい日報システム日報くん
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