残業20時間はブラック?きついときの解決策と仕事探しのポイント

「ひと月あたりの残業が20時間できついの？」
「残業20時間ってブラック？」
「働きやすい仕事って、どうやって見極めたらいい？」

上記のように、残業時間にお悩みの方は多いのではないでしょうか。

実際、残業が20時間だからといって、一概にはブラック企業とは言い切れません。また、「楽」と感じる方もいます。

一方で「きつい」と感じ、転職を考える方もいます。

つまり、同じ残業時間であっても、個人や職場の環境などによって感じ方は異なります。

本記事では、継続して働きやすい環境を見つけるために、きつい日々から抜け出すための解決策や仕事探しのポイントを解説します。

正社員の接客業で毎月20時間以上の残業をしていた私や同僚の経験をふまえて紹介します。

続けやすい働き方や自分に合う仕事を見直す際の参考にしてください。

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残業20時間は多い？ 国内の平均残業時間

厚生労働省の「毎月勤労統計調査　令和６年分結果速報」の結果と比較すると、残業20時間は、国内の平均よりやや多いといえます。

フルタイムで勤務する一般労働者の残業時間を、産業ごとにまとめてみました。

参考：厚生労働省「毎月勤労統計調査　令和６年分結果速報」

表が示すとおり、月の残業が20時間を超えている産業は、運輸業・郵便業のみでした。

つまり、残業20時間というのは一部の業界を除けば平均より多い可能性があります。

しかし、平均との差だけが仕事のきつさを決めるわけではありません。働き方や仕事内容によって感じ方は変わるため、自分に合った働き方を見つけることが大切です。

残業20時間の生活はきつい？

実際に、月20時間の残業をしていると、1日の生活リズムはどのようになるのでしょうか？ここでは、以下の2つの観点から見ていきます。

1日のスケジュールをイメージすることで、月20時間の残業が生活にどのような影響を与えるのか、より具体的に想像しやすくなるでしょう。

1日の平均残業時間

月平均所定労働日数を20日とすると、月20時間追加で働いた場合の1日あたりの残業時間は1時間です。そのため、労働スケジュールは以下のようになります。

労働スケジュール

表が示すとおり、1日1時間の残業であれば、生活リズムが大きく崩れる可能性は低いでしょう。ただし、職場や業種によっては勤務時間が早朝から始まったり、昼過ぎに出社して夜遅くに退勤したりすることもあります。

このような働き方の場合、わずか1時間の残業でも、早起きや深夜の帰宅につながることがあります。実際に私が毎月残業をしていたときは、早番の日は朝5時に家を出て、遅番の日は夜10時に帰宅していました。その結果、生活が不規則となり、徐々に疲労が溜まっていきました。

月20時間の残業のつらさは勤務時間の長さだけでなく、勤務シフトによっても変わってきます。

月20時間残業のライフスタイル

続いて、月20時間の残業をした場合のライフスタイルを見ていきましょう。ここでは、通常勤務時間が9時から18時の場合を例に、1日のスケジュールをまとめてみました。

1日の流れ

表のとおり、1日1時間の残業であれば、自由時間を確保しつつ、睡眠も8時間ほど取ることができます。そのため、比較的健康的なライフスタイルを維持しやすいといえるでしょう。

ただし、前述のとおり早番や遅番などシフトが不規則な場合は、生活リズムが乱れやすくなります。また、特定の時期に残業が集中するような働き方では、その期間だけ負担を感じることもあるでしょう。

月20時間の残業代はいくらもらえる？

できれば残業は避けたいと考える人は多いかもしれませんが、一方で残業代が入るというメリットがあります。月20時間の残業をした場合、給与にはどのように反映されるのでしょうか。

次の2点を解説します。

シミュレーションも交えながら分かりやすく解説しています。参考になれば幸いです。

残業代の基本的な計算方法

1時間あたりの基本的な残業代は、給与を時給換算した際の数字に25％を上乗せすることで計算できます。

これは、労働基準法の第37条で、1日8時間・週40時間の法定時間を超える労働には、25％以上の割増をすることが定められているからです。

参考：e-Gov 法令検索「労働基準法（昭和二十二年法律第四十九号）」

実際の残業代は、次の計算式で求めることができます。

残業代の計算の手順

例のように給与が25万円で年間休日が125日の場合、残業1時間につき1,950円が支払われます。

ただし、残業時間の算出方法は職場によって異なります。以下の理由で、追加の残業代が支払われない場合や誤差が生じる場合もあるので、注意しましょう。

月20時間残業した残業代と手取り

月20時間残業した場合の残業代と手取りの目安は以下の計算で求めることができます。

図の 80〜85％ という数字は、給与から社会保険料・所得税・住民税などを差し引いた後の手取りの目安です。

月給25万円で残業20時間をした場合、残業代として3万9,000円が加算され、手取りは約23万円になるでしょう。

残業20時間は違反？ 労働基準法と36協定を解説

残業20時間はルール違反にならないのかと心配な方もいるかもしれません。結論からお伝えすると、勤務先が36協定を締結している場合は残業20時間は違反ではありません。

これは、労働基準法と36協定の仕組みを理解すると分かりやすくなります。労働基準法では、原則として労働時間の上限は以下のように定められています。

こう見ると、残業が発生する時点で「違法では？」と感じるかもしれません。しかし、労働基準法第36条に基づき36協定を締結した場合、上記の制限を超える労働が許可されています。

参考：厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

ここで鍵となる36協定とは、会社が法定労働時間を超えて残業を行う場合に、労働者の代表と書面で合意を取り、労働基準監督署に届け出る協定のことです。36協定の内容は、以下のとおりです。

参考：厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべきき事項に関する指針」

勤務先が36協定を結んでいるかどうかは、以下の方法で確認できます。

ご自身の勤務時間が違反でないか気になる場合は、勤務先が36協定を結んでいるかどうかを確認してみてください。

20時間の残業がきつい日々から抜け出すための解決策

この章では、月20時間の残業に負担を感じていた際、私や同僚が試した解決策をお伝えします。実際に仕事に対するストレスや生活習慣の改善につながった方法は、以下の6つです。

具体例を挙げながら紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

解決策1：仕事の効率化に取り組む

月20時間の残業でお悩みの場合は、仕事を効率化して労働時間の改善を目指しましょう。そのためには、まず残業が発生したときの原因を書き出してみることをおすすめします。

そうすると、解決策が見えてくるからです。例えば私が接客業をしていたときは、以下のような理由で残業が発生することがありました。

接客業の勤務時間は、お客様対応など現場の状況によって左右されやすいです。しかし、上記のように残業が発生する理由を書き出してみると、自分の努力で改善できる点もあることに気づけます。

例えば、ミスの修正やクレーム対応で時間が発生した際は、ミスやクレームの防止策を検討することで改善できました。

慣れない業務は、予習復習をおこなうことでスピーディーに行えるようになりました。そうすることで、残業時間を減らし、心身の負担を減らしていけるでしょう。

解決策2：担当業務の変更や見直しを相談する

同じ職場でも、担当業務が原因で残業が発生している場合は、上司や人事に変更や見直しを相談してみましょう。相談の際は、残業が生じている理由や解決策を明確に提示してみてください。

例えば私の同僚は、業務担当のメンバーがひとり減ったことで、個人にかかる負担が増えていました。そのため、毎日2〜3時間の残業に疲弊していました。その際、以下のような点を相談することで、状況を改善できたそうです。

ポイントは、「つらい」「大変」といった感情を伝えるのではなく、業務改善案として前向きに提案することです。つらさや負担感は人によって感じ方が異なるため、必ずしも共感を得られるとは限りません。

一方で、具体的な業務改善案は再現性があり、会社としても今後同様の課題が発生した際に参考にできます。自分にとっても会社にとってもプラスになるような視点で提案をまとめてみてください。

解決策3：部署の異動を希望する

残業が発生しやすい部署にいる場合は、異動も検討してみましょう。異動を希望する場合は、希望条件や異動先でできることを具体的に伝えるようにしましょう。

私の場合は接客業なので、部署ではなく勤務地の異動を希望しました。

新卒で配属された職場は、毎日残業することが当たり前の環境でした。しかし、思い切って相談してみたところ、残業が少なく、かつ新しいことに挑戦できる配属先への異動が決まりました。その際に相談したのは、以下のような点です。

ポイントは、残業に悩んでいる現状をきちんと伝えることです。それを明確にしないまま異動してしまうと、同じように残業が多い職場へ配属される可能性があります。

また、異動が会社にとってもプラスになることを伝えることも重要です。例えば、「これまでの経験を活かして、異動先の業務改善や顧客満足度の向上に貢献したい」といった形で伝えると、より前向きで建設的な印象になります。

解決策4：職場の近くに引っ越す

勤務地が遠く、通勤に時間がかかっている場合は、職場の近くへ引っ越すことも検討してみましょう。疲労を感じる原因は残業だけでなく、長時間の通勤にあることも少なくありません。

実際に、私が接客業をしていたときの上司は、異動をきっかけに通勤時間が大幅に増え、乗り換えを含めて片道約1時間半かかるようになりました。

そこで、新しい勤務先から30分以内で通える場所に引っ越しを行ったところ、仕事への集中力や体調面も改善したそうです。引越しの際には、以下の条件に当てはまる場所をおすすめします。

公共交通機関を利用する場合は、乗り換え回数やダイヤを事前に確認しておくことで待ち時間が減り、通勤時間の短縮につながります。まずは、自分のライフスタイルに合わせて、負担にならない通勤時間の目安を考えてみましょう。

解決策5：リモートワークなど柔軟な働き方を選ぶ

残業時間に悩んでいる場合は、自分のライフスタイルや希望に合った柔軟な働き方を選ぶことで、疲労が溜まりにくくなります。私は接客業を退職後、リモートワークでライター業をしています。

実は労働時間は接客業をしていた当時と変わらないのですが、通勤や着替えの必要がなくなったため、息抜きや趣味に使える時間が増えました。

まずは、現在勤務している会社で、どのような働き方の制度が導入されているかを確認してみましょう。

もし難しい場合は、柔軟な働き方を取り入れている企業への転職や、自分で働き方を選べるフリーランスとしての活動も検討してみてください。

解決策6：残業が少ない仕事に転職をする

現在の会社で残業時間の改善が見込めない場合は、残業が少ない仕事に転職しましょう。

実際に、接客業時代の私の同僚は、結婚を機に退職。残業が少ない仕事に転職することで、夫婦生活や子どもとの時間を優先しやすくなりました。

残業の少ない仕事を希望する場合は、以下のようなルーティン業務が中心の仕事を検討することをおすすめします。

また、上記以外の仕事でも、以下の方法で残業の少ない仕事を見つけることができます。

求人ページや就職四季報には、平均残業時間のデータが掲載されています。

ただし、会社によっては残業時間を正確に記録していない場合もあるため、記載内容だけを鵜呑みにするのは注意が必要です。

実際の働き方を知るには、求人専用の口コミサイトを活用してみてください。その会社で働いた経験のある人が、リアルな勤務時間や職場の雰囲気を投稿しており、参考になります。

20時間の残業がきついときの仕事探しのポイント

残業20時間がきつく転職を考えている場合、以下のポイントに当てはまる職場をおすすめします。

詳しい理由を解説していきます。

ポイント1：年収が高い仕事を選ぶ

残業時間を理由に転職を検討する場合、年収が高い仕事を選ぶようにしましょう。

理由は、以下のとおりです。

残業時間の少なさだけを条件に仕事を探すと、転職後に給与が減ってしまうことがあります。残業代が支払われなくなる分、これまでと同じ生活水準を保つことが難しくなる場合もあるのです。

また、年収が低い場合は、将来的に給与への不満から再度転職を考えることになるかもしれません。

そのため、転職の際は残業時間だけでなく、希望する年収に合った仕事かどうかもあわせて確認することをおすすめします。

ポイント2：働き方の柔軟性が高い仕事を選ぶ

月20時間の残業に悩んでいる場合は、働き方の柔軟性が高い仕事を選ぶことをおすすめします。理由は、以下のとおりです。

仕事のきつさの本当の理由は、かならずしも残業時間とは言い切れません。

例えば、「通勤ラッシュがしんどい」「子どもとの時間が減る」といった点は、働き方次第で改善できるでしょう。

こうした場合は、以下のような柔軟な働き方を取り入れている仕事を検討してみてください。

上記のような働き方を導入している場合は、一般的に求人ページに記載されています。

詳しく知りたい方は、面接の際に担当者に質問してみるといいでしょう。

ポイント3：業界が成長している仕事を選ぶ

残業を理由に転職を検討している場合は、成長している業界から探すことをおすすめします。

理由は、以下のとおりです。

なぜなら、企業間での人材獲得の競争が激しいため、より好条件な社内環境を作る必要があるからです。

そのため、従業員の待遇や働き方の改革に積極的で、適正な残業時間の管理などライフワークバランスを重視する傾向が強いです。

成長している業界から転職先を選び、残業がつらいと感じにくい環境に変えることがおすすめです。

残業が多い保険事務から転職してフリーランスとしても活躍している事例

月20時間の残業がきついと感じる場合は、転職だけでなくフリーランスとして働く選択肢も検討してみてください。

なぜなら、フリーランスには以下のようなメリットがあるからです。

そのため、自分に合った働き方と希望の収入の両方を叶えやすいです。

例えば、弊社の日本デザインスクールの卒業生、おりさんは、フリーランスと派遣社員の二刀流で働き、現在は月40万円を稼いでいます。

おりさんは事務職時代、以下のような悩みを抱えていました。

しかし、WEBデザインスクールでスキルを身につけることでフリーランスとしてデビュー。

その結果、以下のように生活が大きく変わりました。

また、収入を夫だけに頼る生活からも抜け出し、心の安定にもつながったそう。

今後の収入は、ジムなど自分のために使うことを検討しています。

おりさんがWEBデザイナーとして月40万円を稼いだ方法は、動画で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

本記事では、残業20時間がきつい場合の解決策と、新しい仕事を探す際のポイントを解説しました。

改めて、本記事の内容をおさらいしてみましょう。

月20時間の残業に悩んでいる場合は、まず「きつい」と感じる原因を整理し、それに応じた解決策を試してみましょう。

現在の職場で改善が見込めない場合は、転職やフリーランスという選択肢も検討できます。

特にフリーランスは、勤務時間や働く場所の自由度が高く、努力次第で収入アップも見込める働き方です。

ただし、スキルが不足していると高単価の案件を獲得しにくいといったデメリットもあります。

そのため、興味のある分野のスクールに通い、即戦力として必要なスキルを身につけましょう。

月20時間の残業に追われる日々から抜け出し、自分に合った働き方を実現できるよう、参考になれば幸いです。