フリーランスになって、好きなように働く生活に憧れている人は多いと思います。
でも、「好きなことを仕事にできれば、お金なんて気にしない!」なんて夢を見ているだけでは、フリーランスとしてやっていくのは難しいかもしれません。
フリーランスとしてやりたい仕事を長く続けるためには、お金の心配がない状態を保つことが大事です。
貯金なんかなくてもガンガン稼げばいいんでしょ!と考える方もいらっしゃると思います。
もちろん、稼げるフリーランスを目指していただきたいです。
でも、攻めだけでなく、守りも固めましょう。
この記事では、フリーランスに貯金が必要な理由、目標金額、そして上手に貯金するコツをお伝えします。
これを参考に、「何のために、どのくらいのお金があったら安心なのか」という、自分なりの基準と目標を立ててみてくださいね。
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フリーランスに貯金が必要な理由
会社や組織に属するサラリーマンの強みは、何といっても定期的に決まった額の収入が確保できているということ。
このため、お金の使い道についても、将来見込まれる収入額に合わせて、支出と貯金のバランスを計画的に決めやすいといえます。
また、社会的信用がありますので、ローンなども通りやすいという強みもあるのです。
対して、フリーランスには4つの理由から、金銭面での心配があります。
理由その1:収入が不安定
サラリーマンと違って、フリーランスには基本給が存在しません。
受注した仕事によって、収入が変わってきます。
継続して契約が取れなかったり、顧客の事情で突然、契約を打ち切られてしまう可能性もあります。
また、時には新しい仕事を受注できなくて貯金で食いつなぐ、なんてことも起こり得るのです。
理由その2:税金の割合が会社員より多い
税金が会社員より高いと一般には言われていますが、実はケースバイケースです。
サラリーマンとフリーランスとでは所得税の算出方法が異なるので、どちらが税金を多く支払っているかは一言では片付けられません。
ここで整理のために、サラリーマンとフリーランスの所得税の計算式を見てみましょう。
サラリーマン
{(給与収入 ー 給与所得控除) ー 基礎控除 ー 保険料控除等 ー 扶養控除等 } × 税率
フリーランス
{(総収入 ー 必要経費 ー 青色申告控除) ー 基礎控除 ー 保険料控除等 ー 扶養控除等 } × 税率
フリーランスは、事業で稼いだ総収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得になります。
所得が290万円以上になると、事業所得税が課せられます。
逆にいうと、所得が290万円未満なら、所得税は納めなくてよいのです。
話を所得税がどう計算されるのかに戻すと、所得に対して一律の所得控除があって、それか基礎控除や保険料控除、扶養控除を差し引いた額に課税される、という基本構造は、サラリーマンもフリーランスも同じです。
違いが出てくるとすれば、経費の金額によって、課税額が変わってきます。
経費が多い場合は、総収入から経費を差し引いた事業所得の金額が減りますので、課税額も場合によってはサラリーマンより少なくて済むということもあります。
経費が少ない場合はその逆で、事業所得額が増え、課税額が増えます。
また、開業から2年以上経過し、課税売上が1000万円を超えると、消費税を納めなければなりません。
このため、フリーランスの方がサラリーマンよりも、収入に対して支払う税金の割合が多いと考えられがちなのです。
傷病手当がない
傷病手当は、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される、会社員とその家族を救済するための制度(全国健康保険協会)です。
ですから、フリーランスはこの手当を受け取ることができません。
そもそも、会社員と個人事業主であるフリーランスでは、加入する社会保険が違います。
フリーランスは、病気療養中の補償を受けられませんので、保険に入るなどして自分で備えておかなければならないのです。
傷病手当に代わる補償としては、就業不能保険という損害保険も選択肢の一つです。
病気などで働けなくなった場合も、所定の要件に該当すれば就業不能給付金を毎月受給できます。
しかし、給付条件や補償内容、免責期間といった給付金が支給されない機関など、保険会社によって異なりますので、事前によく調べましょう。
退職金がない
フリーランスには退職がありません。
いつまでも仕事を続けられるというメリットがある一方で、退職金がもらえないというデメリットがあるのです。
退職金の相場は、新卒採用で定年まで勤続した場合、大企業でおよそ2500万円、中小企業で1200万円と言われています。(参考:りそな年金研究所「企業年金ノート No. 636」2021年4月 )
つまり、周りの会社員がもらう退職金分(1500万程度)を自分で貯めておく必要があるということです。
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フリーランスに貯金はいくら必要?
貯金が必要な理由はおわかりいただけましたか。
会社員が自動的に補償されているお金は、かなり大きな金額でしたね。
それと同じくらいのお金を自分だけで貯められるかな、なんて心配になった方もいらっしゃるかもしれません。
一度に大きな額の貯金を目指すのではなく、まずは小額から目標金額を設定してみましょう。
フリーランスになる前の目標金額
フリーランスとして仕事を始めるなら、【貯金が必要な理由その1】で説明したように、固定のクライアントがつくまでの収入が不安定な時期に備えておきましょう。
一般には、運転資金としての諸経費に加え、半年~1年間の生活費は貯金しておいた方が良いといわれています。
実際の統計では、フリーランスになる前の貯金額は100万円未満の人が約50%を占めるという結果が出ていますが、独立後に出費がかさみ、貯金で食いつないだという経験談もあります。(東京海上日動あんしん生命「マネコミ!」 )
やはり、準備しておく金額は多い方が良いでしょう。
では、フリーランスになる際にに必要な諸経費はどれくらいでしょうか。
業種や、個人事業主になるか法人を設立するか、事務所を借りるか自宅を事務所として使うか、生活環境が持ち家か賃貸か、などの条件によっても変わりますが、以下の項目について必要金額を洗い出してみましょう。
- 法人設立登記費用(30万円以上)
ただし、個人事業主の場合は不要です - 商品仕入れ費用
- 店舗賃貸料、保証金
- 仕事で使う機材、備品等の購入費
- 電気代、通信費、交通費などの固定費
できるだけ具体的な金額で計算し、これに半年から1年分の生活費を上乗せして、自分に必要な目標金額を用意してください。
運転資金としての目標貯金額
こちらも先ほど説明した内容と重複しますが、運用資金半年~1年分を目標に貯金しておきましょう。
ライフネット生命保険株式会社の2014年の調査によると、フリーランスの平均貯蓄額は431万円でした。
ですが内訳をみてみると、0円が22.2%、100万円未満が24.4%、100万円台が16.0%となり、200万円未満が50%以上を占める結果が出ました。
200万円から1000万円未満が25.2%、1000万円以上が12.2%ですので、二極化していると言えますね。(ライフネット生命保険株式会社「フリーランスの働き方とお金に関する調査」2014年11月)
この調査にはさまざまな業種や事業規模が混じっていると思われますので、結果の貯蓄額イコール運転資金の目標金額とはいえませんが、これを参考に目標貯金額を設定しましょう。
繰り返しますが、理想の貯金額は仕事に必要な諸経費に最低限必要な生活費を足した額の1年分です。
フリーランスが上手に貯金する6つのコツ
では、どうすれば貯金できるでしょうか。
それには準備段階として、
- まずは現状を把握し、貯金できる金額を確保する
- 将来必要な大きな支出を割り出しておく
の2つをやっておきましょう。
そして、その後に説明する4つのテクニックを使って、貯金を増やしていきます。
普段の収支を把握する
はじめに、普段の生活で使っているお金を見直してみましょう。
家計簿をつけて、何にどのくらい支払っているのか、どのくらいのお金があれば1か月間生活していけるのか、を把握します。
衣食住にかかるお金、仕事に必要な経費、交際費や自己投資資金などの自由に使いたいお金、などざっくりとした分け方で構いません。
そして無駄があれば、そこをなくすことができるかどうかも検討します。
無駄をなくして最低限必要な生活費を割り出し、残った分を貯金や投資に回すようにします。
将来必要になる大きな支出を考えておく
人生のステージによって必要なお金は変わってきます。
また、怪我や病気など不意の出費にも備えておく必要があります。
自分のライフスタイルに合わせて、将来必要になる大きな支出に何があるかを整理しておきましょう。
具体的には、次のようなものがあげられます。
- ケガや病気などの医療費
- 住宅購入費
- 子どもの学習費、入学金や授業料、受験費用
- 家族の慶弔費
- 老後費用
物価の上昇もある程度見込んで、多めに見積もっておくと良いでしょう。
節税効果を狙う
補助金や税金控除など、支出を抑えられる制度を積極的に使っていきましょう。
フリーランスが使えるものをご紹介しますね。
iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、任意で加入できる私的年金の制度です。
申込みから、掛金の金額、運用方法のすべてを自分で選んで、掛金を運用します。
掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
確定拠出年金法に基づいて実施されていて、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
節税効果を受けられて、将来に備えた貯金もできるのですから、使わない手はありません。
国民年金基金連合会の「iDeCo公式サイト」では、年収と運用開始年齢、掛金の月額で、税負担がトータルでどのくらい軽減されるのか、シミュレーションもできますよ。
小規模企業共済
小規模企業共済は、国の機関である中小機構が運営する、小規模な企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積立退職金制度です。
掛金は、全額を所得控除にできます。
また、掛金の範囲内で、事業資金の貸付制度を利用できます。
貸付制度の種類も豊富で、一般貸付、緊急経営安定貸付、傷病災害時貸付、福祉対応貸付、創業転業時・新規事業展開等貸付、事業承継貸付、廃業準備貸付があります。
青色申告特別控除
フリーランスや自営業などの個人事業主は、所得税を納めるために確定申告を行わなければなりません。
事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある個人事業主は、青色申告の対象となり、最大で65万円控除の優遇措置を受けることができます。
この優遇措置を青色申告特別控除といい、55万円、65万円、10万円の3種類の控除があります。
控除を受けられる必要条件を以下に紹介しますが、受けられない条件もありますので、詳しくは国税庁の青色申告特別控除の説明を確認してください。
(1)55万円の青色申告特別控除
以下の条件を満たせば、控除を受けられます。
- 不動産所得または事業所得を得ていること。
- 複式簿記などの正規の簿記の原則に従って、記帳していること。
- 貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、控除を受ける金額を記載した申告書を、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに提出すること。
ただし、現金主義によることを選択している人は、55万円の青色申告特別控除を受けることはできないとか、不動産所得と事業所得の両方を得ている人の控除など、注意が必要な点もあります。
(2)65万円の青色申告特別控除
以下の条件を満たせば、控除を受けられます。
- 「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
- 次のいずれかに該当していること。
イ 仕訳帳と総勘定元帳を、電子帳簿の要件を満たした電子データで保存していること。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して提出すること。
(3)10万円の青色申告特別控除
上記「55万円の青色申告特別控除」と「65万円の青色申告特別控除」に該当しない青色申告者が対象です。
不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が控除額になります。
この合計額は、損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいます。
いずれかの所得がマイナスである場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除します。
付加年金を利用する
国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者は、定額保険料に付加保険料を上乗せして納めると、受給する年金額を増やすことができます。この制度を付加年金といいます。
付加保険料は月額400円です。
社会保険料控除として所得から控除できます。
住んでいる地域の役所の国民年金窓口や、年金事務所で申し込みます。
なお、国民年金第1号被保険者は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のフリーランスなどの人とその配偶者のことです。
任意加入被保険者は、60歳を過ぎていたり、海外に居住する日本人など、国民年金に加入する義務のない人を指します。
経費を節約する
日々の生活の支出見直しも大事ですが、仕事で使う経費も定期的に見直し、より割安なサービスに切り替えたり、節約できるところは削るようにしましょう。
目の付け所としては、以下のようなものがあります。
- サブスクリプションサービスなどで使っていないもの、必要なくなったもの
- 在庫維持管理費
- 交通費、通信費
- クレジットカード年会費
投資を活用する
現在、金利が高いといわれているネット銀行の定期預金金利でさえも0.2~0.3%です。
メガバンクにいたっては0.002%と、100万円を1年間預けても20円にしかならないというご時世。
貯金だけでなく、株式投資を活用することも検討してはいかがでしょうか。
株式投資は、証券口座を開設して運用資金を入れ、株を売買して買値と売値の差額で資産を増やしていきます。
リスクとリターンを考えると、年間の利回り3~5%を目指すのが中長期的には安定的といわれています。
投資を始める前には本を読んだり、詳しい人に話を聞いたりして、よく理解した上で始めるようにしましょう。
それでも怖いという方には、iDeCoのところで説明した投資信託を利用するのがお勧めです。
また投資信託に似ていますが、対象を株式や債券だけでなく、金やコモディティにも分散して、AIが自動的に運用するサービスなどもありますので、調べてみてください。
まとめ
フリーランスの働き方には、収入が不安定だったり、受けられる補償が少なかったり、確定申告をしなければいけなかったり、対策を考えるべきことが多いと感じた方も多いのではないでしょうか。
でも、金銭的なバックアップがあると、やりたい仕事に集中できます。
貯金をすることで、フリーランス人生に自信と安心を感じられるようになりますので、実践していきましょう。
すぐには無理でも、少しずつでも、とにかく始めることが大事です。
この記事で説明した以下の手順で、自分のできることから始めてください。
- 普段の収支を見直して、最低限必要な生活費の金額を把握する
- 人生で将来必要になると見込まれる大きな出費を洗い出す
- 節税対策(iDeCo、小規模企業共済、青色申告特別控除)
- 年金額の増額を図る(付加年金)
- 経費を節約する(無駄な支出の定期的な見直し)
- 自分に見合ったリスクの範囲で、積極的に投資する
この記事を読んで、貯金の始め方や続け方がクリアになって、やる気を出していただけると嬉しいです。
貯金の目標金額や方法は人それぞれです。
自分が「これなら大丈夫」と思える範囲で続けることが成功の秘訣ですよ。
初めは目標金額がほど遠く感じるかもしれませんが、計画性を持って毎日、毎月のペースでコツコツ続けることが最終的には近道ですから、がんばりましょう!
質問や感想があればご記入ください