デザインというと、つい写真やイラストなどのグラフィックに目が行きがちですが、情報を伝える上で欠かせないのは、文字ですよね。
文字は単に情報伝達の道具であるだけでなく、古くからそのときどきの時代や場面の雰囲気に合わせて、一定の法則で装飾されて使われてきました。
たとえば、太く真っ直ぐな文字は力強く、大胆、男性的なイメージ。
細くて曲線的なフォルムの文字は、優しく洗練された、女性的なイメージ、というように。
このようなイメージや雰囲気、ニュアンスを伝える文字のかたちを「書体」と呼びます。
そして、同じ書体で統一性を持ってデザインされた、アルファベットなどの文字のグループを「フォント」と呼んでいます。
つまり、日本語の場合はひらがな、カタカナ、漢字が全てそろった書体グループがフォントになりますね。
デザインにおいては、違う種類のフォントを組み合わせることで、見る人の目を引いたり、情報を整理する効果が期待できます。
でも、やみくもに違うフォントを使えばいいというわけではありません。
全体としてのバランスが取れていないと、読みづらかったり、情報が頭に入らなかったり、最悪の場合は見向きもされないことだってあるのです。
この記事では、デザイナーとして知っておきたいフォントの特徴、素敵に見える組み合わせ、センスの良い配置、印刷時に気をつけたいこと、などが身につくおすすめの本を紹介します。
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【入門者向け】フォントが楽しく学べる6冊
「今まで文字についてそんなに気にしていなかった」、「いつも何となくフォントを選んでいるけど、きちんと考えて選べるようになりたい」、そんな入門者さんは、まずはデザインに合わせたフォントを選べるようになりましょう。
ここで紹介する6冊はどれも、気軽に楽しみながら、フォントについて学べる本です。
自分の感覚に合った、相性の良さそうな本から手に取ってみてください。
ほんとにフォント
今、フォント関連の本のなかで最も多くの支持を集めている人気の本です。
ポスター、チラシ、DM、本の表紙、メニュー、データ資料、など、第一印象が決め手の媒体を例に、コンセプトに合ったフォントが説明されています。
NG例とOK例の対比が具体的でわかりやすく、手元に置いておきたい一冊です。
また、違うフォントの組み合わせパターンのデザイン紹介もあり、フォントの使い方で印象がずいぶん変わるのを実感できるでしょう。
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実例付きフォント字典
2500種類近い和文書体を一覧できる、圧巻の見本帳です。
「デザイナー必携」の呼び声も高い、入門者のみならず上級者にも好評の一冊。
人気の179書体については、ポスターやパッケージ、本の装丁など、実例も紹介されているので、デザインの参考になるでしょう。
また、モリサワをはじめ、国内26社のフォントを見比べることができるので、各社のフォントサブスクサービスを比較検討するのにも役立ちます。
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文字のきほん
A5判の総ページ144ページという薄さながら、文字に関する知識をぎゅっと詰め込んだ一冊です。
「書体とは?フォントとは?」という説明から始まって、和文書体と欧文書体の特徴、文字の歴史、媒体別のフォント使用例、主なフォントメーカーと代表的なフォントの紹介、フォントの作り方、選び方、入手方法など、入門者が知りたい情報が詰まっています。
豊富な図解や写真説明によって、内容も整理されており、手っ取り早く、フォントについて学べるでしょう。
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見るだけでデザインセンスが身につく本
この本はフォントに特化しているわけではありませんが、デザイン超初心者向けに、見るだけでデザインセンスが身についちゃうくらいわかりやすく解説されています。
フォントと合わせて色の組み合わせやレイアウトについても学びたい方におすすめの一冊。
デザインを勉強するなら、手元に持っておいて損はないですよ!
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素人ですが、デザインしてみました
タイトル通り、デザイン初心者向けの本です。
フォントに特化した内容ではありませんが、可愛いイラストのストーリー仕立てのマンガから、気軽にプロのデザイナーのノウハウを学べます。
フォントに関する部分では、フォントのイメージやサイズ、文字詰め、装飾など、ちょっとの工夫で見やすくセンス良くできるポイントを紹介。
「何となく」から卒業して、デザインを使う場面やコンセプトなど、デザインの背景情報をふまえて「何をどう伝えたらいいか」を考えるクセをつける一歩を後押ししてくれます。
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マネするだけでセンスのいいフォント
ベストセラー「3色だけでセンスのいい色」シリーズの第二弾です。
キャッチコピー、説明、テイストの3種類のフォントを組み合わせることで生まれる、オシャレ可愛い作品例が、そのままデザインの参考として使えます。
ぱらぱらとページをめくって、フォントの組み合わせの妙と、気分を上げてくれるデザインを楽しむのもまた良し。
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【デザイン中級者向け】フォントのプロから学べる6冊
次はデザイン中級者向けに、ちょっと硬派な本のご紹介です。
入門者向けの本では重点の置かれていなかった、字詰めや行間隔などの組版ルール、文字を視覚的に配置したりデザインして視認性やデザイン性を上げるタイポグラフィなど、プロのフォントデザイナーによるノウハウが詰まっています。
プロデザイナーとして知っていて損はないアイデアや知識を得られます。
数字で伝える広告デザイン
広告においては、日付や価格など数字で表される情報は重要ですね。
いかに正確に、印象深く、これらの情報を見る人の頭に焼き付けるか、デザイナーは細心の注意を払って、綿密にデザインを作り上げます。
たかが数字と侮ることなかれ。
簡潔性、美術姓、意外性、遊び心…、あの手この手で練り上げられた広告デザインの作品例を見れば、あなたの引き出しもぐんと広がることでしょう。
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絶対フォント感を身につける
本書は、2015年にデザイン誌MdNが取り上げた、特集3回分に加筆したムック本です。
聞こえた音を本能的に正確な音階で聞き取ることのできる「絶対音感」になぞらえて、フォントの特徴を把握し、デザインに合ったフォントを的確に見分けられる感覚「絶対フォント感」を養うためのノウハウが詰まった一冊です。
もちろん、これを読んだからといってすぐに、絶対フォント感が身につくわけではありませんが、フォントの特徴や系譜などを学ぶことによって、使用するフォントを決める時の判断基準に深みが出ることは間違いなしです。
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タイポグラフィの基本ルール
ひとことで言えば、ザ・教科書。
手元に置いて、いつでも見返したい一冊です。
第一線の書体デザイナー/グラフィックデザイナーが、文字を美しく見せる技を、豊富な実例や詳しい説明と共に披露しています。
正統派の技を、正しい背景知識とともに本書で学べば、文字のデザインにもぐっと自信が付くでしょう。
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あるあるタイポ
前述の2冊と違い、遊び心の詰まったタイポグラフィの見本帳。
章のタイトルからして、「線で見せるタイポ」「グッと読ませるタイポ」「太字でだいぶインパクト」など、思わず興味をそそられる、イメージ先行の構成になっています。
文字でこんなに自由に遊べるんだ!と視界が開ける爽快感を味わってください。
デザイン例には、ポイント解説やアドバイスが付いています。
さらに、デザインのバリエーション展開も披露されていて、あなたの好奇心をこれでもかと言わんばかりに刺激してくる本です。
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レタースペーシング タイポグラフィにおける文字調整の考え方
字詰め、カーニングなどの文字間調整、それはデザイナーにとって、永遠の課題ではないでしょうか。
本書は、文字間調整に焦点をしぼり、デザイナーならではの感覚的なアプローチと、論理的な解説を組み合わせて、まじめにこだわった本となっています。
和文、欧文、和欧混植のそれぞれの場合について学ぶことができ、「何となく」の字詰めから一歩抜け出す助けとなるでしょう。
各項目はすべて見開き完結なので、どのページからでも読み進められ、読み物としても最適です。
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1ページずつ学ぶ文字レイアウトの法則
本書が取り上げているのは欧文の文字レイアウトのみですが、プロなら知っておきたい知識の詰まった、こだわりの一冊です。
これを読めば、欧文フォントを使うときのデザインも、グッと引き締まりそうです。
文字組の常識や、オーファンやウィドーなどのタブーなど、四六判208ページの小型本ながら、専門知識が網羅されています。
素人デザイナーさんが知らずにやってしまいがちな、プロのデザイナーから見たら「変」な間違いを避けたい方には、まずおすすめです。
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【マニアック級】フォントの面白さをひもとく3冊
最後に、もっとフォントについて学びたい方のために、プロフェッショナルの頭の中を覗くような、体験談やアイデアの詰まった本をご紹介します。
ブランディングのためのカスタムフォントとタイポグラフィ
これはもう、アート本です。
ブランドが独自にデザインしたカスタムフォントや、それを使ってポスターやプロダクトに展開したタイポグラフィの実例が紹介されています。
いずれも「かっこいい!」とため息の出るような、ぶっ飛んだデザインばかり。
手がけたデザイナーの生の言葉で、メイキングストーリーが綴られています。
フォントのお勉強は一休みして、本書のページをめくって、インスパイアされてください。
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時代をひらく書体をつくる
金属活字、写植、デジタルフォントの文字印刷の変遷の中で、書体デザイン・制作・監修をされてきた橋本和夫氏へのインタビューをまとめた本です。
橋本氏の実体験を通してフォントの歴史を知ることで、これまで紹介してきた本とは違う側面から、フォントを身近に感じることができるでしょう。
温故知新、あなたの中の何かが変わった、そんな手応えも感じるかもしれません。
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明朝体活字 その起源と形成
この本を読んだ後はきっと、「マニアックだなあ」と、ニヤニヤしてしまう人もいるかもしれませんね。
佐藤タイポグラフィ研究所で書体設計者として実績を積まれた小宮山博史氏が、国内外の膨大な資料を集めて、明朝体活字の歴史をルーツからまとめ上げた渾身の一冊です。
ここまで明朝体にのめり込む小宮山氏のこだわりに触れることで、あなた自身も、お気に入りのフォントに対して、マニアックなこだわりを持ちたくなるかもしれません。
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まとめ
以上、デザイナーとしてフォントの扱いが格段にレベルアップする本15冊をご紹介しました。
フォントの世界は本当に奥深いです。
書体そのものだけでなく、組み合わせ、文字詰め、タイポグラフィ、カスタムフォント、など、美やクリエイティビティを追求できる要素がいっぱい。
それだけに、知っておいたほうが良いことや、やるべきことの多さに圧倒されるのではなく、楽しみながら、先人たちに学びながら、引き出しを増やしていきたいところです。
入門向け、中級向け、マニアック級と、レベルを分けて、しっかり勉強するための本と、楽しみながら知識やアイデアを取り込める本をご紹介しましたので、興味のある本から手に取ってみてください。