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フリーランスの年末調整はどうすればよい?確定申告との関係性は?

フリーランスの年末調整はどうすればよい?確定申告との関係性は?

会社員やアルバイトとして働いていると、ほとんどの場合、毎年12月に年末調整して1年間の所得税を精算します。

あなたも年末調整の書類に支払った保険料の金額や扶養している家族などを記入して、勤務先の担当者に提出したことがあるかもしれません。

では、フリーランスとして個人で事業運営することになった場合は、どのように所得税を精算するのでしょうか?

会社員なら、手続きを取りまとめてくれる担当者がいるので、手続き漏れや記入誤りなどをあまり心配せずにいられます。

しかし、フリーランスの場合は、全て自ら適切な情報をキャッチして行動しなければなりません。

私は昨年4月に、会社員からフリーランスのWEBライターに転職したフリーランス1年生です。

時間や場所にしばられず好きなことを仕事にできるメリットがある反面、案件獲得やクライアントとのやり取りなど、会社員のときにはやらなかったことを全て自力でこなす必要があり、慣れないうちは大変なことも多いですよね。

退職後ふと「いつも職場で年末調整していたけど、次回からはどうなるんだろう?」と考え、やはりとても不安になりました。

所得税を精算するには、年末調整の他に確定申告という手続きもあり、ますます混乱してしまいます。

この記事では、フリーランスと「年末調整」「確定申告」の関係性を詳しく解説します。

これを読めば、フリーランスのあなたが「年末調整」と「確定申告」どちらをすればよいかわかるようになりますよ。

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目次

フリーランスは「年末調整ではなく確定申告」が原則

年末調整と確定申告は、どちらも1年間の収入と税金から控除できる保険料などの金額を精算して所得税額を確定させる手続きです。

それではフリーランスの場合、どちらをすればよいのでしょうか?

フリーランスの場合は、原則的に確定申告する必要があります。

年末調整は、従業員に給与を支払う「雇用主」に対して課された義務であり、雇用主が従業員に対しておこなう手続きです。

個人事業主であるフリーランスは、会社に雇用されていないため年末調整できないのです。

ただし例外的に、フリーランスでも年末調整する場合があります。

詳しくは、後段の「フリーランスでも年末調整しなければいけない場合とは?」で解説していきますね。

年末調整の基本をおさえよう!

ここでは、フリーランスと年末調整の関係を整理するために、年末調整についてもう少し詳しく解説します。

年末調整とは

仕事で収入を得ると、それに対して所得税がかかり、会社員の給与や所得税法で決められた一部の報酬は、支払いのときに所得税を源泉徴収されます。

しかし源泉徴収される所得税額は、保険料控除など所得税の金額に影響する要件を含めて計算されていない仮の金額です。

そのため、1年分の所得税を正確に算出し確定するためには、算出に必要な全ての要件を含めて一度精算する必要があります。

年末調整とは、毎年1月1日から12月31日までの間に、雇用主が従業員に給与を支払うときに源泉徴収してきた仮の所得税額を、さまざまな控除を踏まえて精算し、正しい所得税額を算出する手続きなのです。

年末調整と確定申告3つの違い

年末調整と確定申告は、どちらも「1月1日から12月31日までの給与や報酬などを精算して、所得税額を確定させる」という目的としては同じです。

それでは、どのようなところが違うのでしょうか。

年末調整と確定申告の3つの違いを解説していきます。

1.手続きの対象になる人

【年末調整】

次の全てに該当する人が年末調整の対象です。

年末調整できる人
  • 雇用主から給与の支払いを受けており、12月31日時点で雇用されている
  • 日雇いではなく、継続して雇用されている
  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整の日までに提出している
  • 給与の総額が2000万円以下
  • 災害減免法によりその年の所得税の徴収猶予や還付を受けていない

ただし、次のような場合は年末調整できません。

年末調整できない人
  • 複業しており、最も多く収入を得ている他社で年末調整する
  • その年に転職してきているが、前職の源泉徴収票が提出できない

また、年の途中に退職した場合は、次の5つのケースに該当する人だけが年末調整の対象になります。

年末調整できない人
  • 海外転勤などで日本に居住しなくなった
  • 死亡退職した
  • 著しい心身の障害のために退職した(退職後に再就職し給与を受ける見込みのある人は除く)
  • 12月に支給される分の給与等の支払いを受けた後に退職した
  • 退職したパートタイマー(退職後に他の勤務先から受ける見込みのある給与を含め、その年中に受ける給与の総額が103万円以下の場合のみ)

参考:国税庁_No.2665 年末調整の対象となる人

なお、給与所得があっても年末調整しなかった人は、年間給与所得の合計額が課税対象となる103万円を超える場合、自分自身で確定申告する必要があります。

また、年間給与所得の合計額が103万円以下でも、源泉徴収されている場合は、確定申告すれば払いすぎた所得税が戻る(還付される)可能性がありますよ。

【確定申告】

次の計算をした結果残額があり、さらに、1~10のいずれかに該当する人が確定申告の対象です。

([各種の年間所得合計額]−[所得控除])×[所得税率]−[配当控除額・年末調整で受けた住宅借入金等特別控除額]

確定申告できない人
  1. 雇用主から給与を支払われている人のうち、給与収入が2000万円を超える
  2. 給与を1ヵ所から受け、その給与の全てが源泉徴収の対象になる場合で、「給与所得・退職所得以外の各種所得金額(フリーランスの事業所得など)」の合計が20万円を超える
  3. 給与を2箇所以上から受け、その給与の全てが源泉徴収の対象になる場合で、「年末調整されなかった給与収入額」と「給与所得・退職所得以外の各種所得金額(フリーランスの事業所得など)」の合計が20万円を超える
  4. 同族会社の役員やその親族などで、給与の他に貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
  5. 災害減免法によりその年の所得税の徴収猶予や還付を受けた
  6. 在日の外国公館に勤務する人や家事使用人などで、給与の支払いを受けるときに所得税等を源泉徴収されないことになっている
  7. 所得が公的年金等に関わる雑所得のみ
  8. 退職所得がある
  9. 1〜8以外で、各種所得金額(フリーランスの事業所得など)の合計額と所得控除合計額から所得税額を算出し、その所得税額から配当控除額を差し引いた結果、残額がある
  10. 上場株式等に係る譲渡損失と配当所得等との損益通算および繰越控除の特例の適用を受ける

なお、次の場合は確定申告不要です。

確定申告できない人
  • [給与収入合計額]−[雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の「所得控除合計額」]が150万円以下、かつ、「給与所得・退職所得以外の各種所得金額(フリーランスの事業所得など)」の合計が20万円以下
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象になる
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象になり、「公的年金等に関わる雑所得以外」の所得金額が20万円以下

参考:国税庁_確定申告が必要な方

2.税務署に申告し納税する義務のある人と納付期限

【年末調整】

給与の支払者(雇用主)。

所得税法においては、給与の支払者のことを「源泉徴収義務者」と表現します。

給与の支払者は、支払う給与から源泉徴収し、1年間の給与の支払額決定後の12月に、対象となる従業員に対し年末調整する義務があります。

源泉徴収分の所得税の納付期限は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までです。

参考:国税庁_源泉徴収義務者とは

【確定申告】

所得を得た本人。

日本では、納税者の一人ひとりが自ら税務署へ所得を申告して税額を確定させ、その税額を納税する「申告納税制度」を採用しています。

そのため特に不要とされるケースを除き、国民一人ひとりに確定申告する義務があります。

確定申告分の所得税の納付期限は、原則として報酬や年金などを得た翌年の2月16日から3月15日までです。

なお、預貯金口座からの振替納税を希望した場合は、4月下旬頃に振替となります。

参考:国税庁_申告納税制度
参考:国税庁_Q29 税金はいつまでに納付すればよいのですか

3.申告できる所得控除の種類

所得控除とは、最低生活費を保証したり納税者間の税負担を公平にしたりする目的で、課税対象になる所得金額を減らせる制度です。

控除の種類は、次のとおり年末調整のほうが少なく、確定申告にしかない控除を受けたい場合は、本来確定申告対象外の人でも確定申告する必要があります。

【年末調整】

控除の種類
  • 基礎控除
  • 扶養控除(扶養控除・障害者控除・寡婦/寡夫控除・ひとり親控除・勤労学生控除)
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 所得金額調整控除
  • 保険料控除(生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除)
  • 住宅借入金等特別控除(2年目以降)

参考:国税庁_給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)_年末調整とは

【確定申告】

控除の種類
  • 年末調整で申告できる所得控除
  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制
  • 雑損控除(災害・盗難等で資産に損害を受けた場合受けられるもの)
  • 寄付金控除
  • 住宅借入金等特別控除(初回)

参考:国税庁_「所得から差し引かれる金額」(所得控除)
参考:国税庁_住宅ローン控除を受ける方へ

フリーランスでも年末調整しなければいけない場合とは?

フリーランスは「年末調整ではなく確定申告」が原則とお話してきましたが、場合によっては、フリーランスで事業運営していても年末調整することがあります。

どのような場合かというと、フリーランスが「従業員」の立場になるときと、「雇用主」の立場になるときです。

それぞれについて、詳しく解説していきますね。

1.フリーランスが従業員として年末調整する場合

フリーランスが年末調整するのは、従業員の立場になったときです。

具体的には、主に次の2つのケースになります。

①アルバイトなどの給与所得もあるケース

フリーランスとして事業収入を得るのと並行し、アルバイトやパートの給与収入もある場合は、

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出していない
  • 給与の総額が2000万円を超える

など年末調整の対象外になるケースを除き、勤務先で年末調整します。

また、会社員として働きながら副業としてフリーランス事業の収入を得ている場合も同様で、勤め先で年末調整することになります。

このとき、フリーランスとして事業で得た報酬など給与以外の年間所得合計額が20万円以下の場合は、確定申告は不要になり年末調整だけでOKです。

しかし、給与以外の年間所得合計額が20万円を超える場合は、年末調整と併せて確定申告もする必要があります。

参考:国税庁_No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

②フリーランスから従業員になったケース

もう一つのケースは、フリーランスとして事業収入を得ていた人が、年の途中に事業を廃業し会社員として転職したり、フリーターとしてアルバイトやパートのみに従事するようになり、年末まで在籍する場合です。

この場合、前段の「アルバイトなどの給与所得もある場合」と同様に、年末調整の対象外になるケースを除き、勤め先で年末調整します。

また、フリーランスとして稼いだ事業所得など給与以外の年間所得合計額が、20万円以下の場合は確定申告が不要で、20万円を超える場合は年末調整と併せて確定申告が必要なのも同じです。

なお、年の途中に会社員やフリーターを辞めフリーランスに転職した場合は、年末調整できないため確定申告することになります。

確定申告のとき、その年に給与を受けた勤め先の発行する「源泉徴収票」が必要になるため、もしも受け取っていない場合は、早めに勤務していた先に問い合わせましょう。

参考:国税庁_No.2674 中途就職者の年末調整

2.フリーランスが雇用主として年末調整する場合

フリーランスが雇用主の立場になったときは、雇用している従業員等に対して年末調整する必要があります。

具体的には、主に次の2つのケースです。

①フリーランスが従業員を雇用しているケース

フリーランスが事業運営するうえで、継続的に人を雇って給与を支払うようになると、「源泉徴収義務者」になります。

支払う給与から源泉徴収することになるため、1年間の給与の支払額が決定する12月に、対象となる従業員に対し年末調整して所得税を精算する義務があるのです。

雇用主として年末調整する方法は、国税庁のホームページに詳しく記載されています。

わからないところがあれば、納税地の税務署に問い合わせしながら手続きを進めてくださいね。

参考:国税庁_源泉徴収義務者(給与の支払者)の方へ(令和4年分)

②フリーランスが青色事業専従者に給与を支払っているケース

フリーランスが事業運営のために雇用する「事業主と生計をともにしている配偶者や他の親族」を税法上「専従者」と言い、青色申告と白色申告で定義が異なります。

雇用する配偶者や他の親族が、次の①〜③の要件に当てはまる「青色申告専従者」の場合は、支払う給与から源泉徴収する義務があるため年末調整も必要になるのです。

年末調整が必要ケース
  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
  • その年を通じて6ヵ月を超える期間(※)、青色申告者の営む事業への従事に専念していること

(※)次のA・Bの場合には、事業に従事できる期間の2分の1を超える期間で構いません。

A:年の中途での開業・廃業・休業、または青色申告者の死亡・季節営業等で年間を通じて事業が営まれなかった場合

B:事業に従事する親族の就職・退職・死亡・長期にわたる病気・婚姻・その他相当の理由により、年間を通じて納税者と生計をーにする親族としてその事業に従事できなかった場合

参考1:国税庁_No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
参考2:国税庁_年の中途で事業に従事した親族に係る青色事業専従者給与

まとめ

フリーランスは年末調整ではなく、確定申告するのが原則です。

年末調整は雇用主が従業員に対しておこなうもの。

そのため、個人事業主であるフリーランスは、一般的には年末調整の対象にならないのです。

年末調整とは、従業員の給与から源泉徴収された所得税を12月に清算し、1年間の所得税額を確定する手続きです。

確定申告も、年末調整と同様に1年間の所得税額を確定する手続きですが、次の点に違いがあります。

確定申告と年末調整の違い
  • 手続きの対象になる人
  • 税務署に申告し納税する義務のある人と納付期限
  • 申告できる所得控除の種類

フリーランスで事業を営んでいても、状況によっては年末調整しなければならないことがあります。

それは、大きく分けて次の2つの場合です。

フリーランスが従業員として年末調整する場合
  • アルバイトなどの給与所得もあるケース
  • フリーランスから従業員になったケース
フリーランスが従業員として年末調整する場合
  • アルバイトなどの給与所得もあるケース
  • フリーランスから従業員になったケース

1年間の働き方や所得金額によって、確定申告と年末調整のどちらかでOKな場合・両方必要になる場合・どちらも不要な場合に分かれます。

あなたはどのような手続きになりそうですか?

複雑そうな手続きも、一つひとつ慌てずにこなしていけば大丈夫です。

確定申告や年末調整をやり遂げて、その後のスムーズな事業運営や理想の生活につなげていかれますよう応援しています!

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