フリーランス(個人事業主)として稼げるようになってきたときに考えるのが法人化。
ただ、「法人化になったら何がいいの?」「なにか損することあるの?」「結局どのタイミングで法人化すべき?」と疑問に思うことも多いですよね。
そこで、今回はそんな悩みを解決するために法人化をするベストなタイミング、法人化するメリット・デメリットをご紹介していきます。
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フリーランスが法人化するのにベストなタイミングは2つ
個人事業主と法人の違いから丁寧に説明していくのもよいのですが、本当に知りたいのは「どのタイミングで法人化すればいいの?」ということではないでしょうか。
そこで、いきなりではありますが、まずフリーランスが法人化するのにベストなタイミングを2つお伝えしていきます。
法人化について詳しく解説していないので、完璧に理解できないところもあるかもしれませんが、あとから説明していくので大丈夫です。
ここではとりあえずベストなタイミングを把握しておきましょう。
課税所得が900万円を超えたタイミング
課税所得(売上から経費を差し引いたもの)が900万円を超えたときが法人化するのにベストなタイミングです。
所得900万円を超えると、法人のほうが支出が少なくなるからです。
個人事業主は収入が上がっていくのと同時に税率も上がっていくのですが、法人の場合は税率がほとんど変わりません。
そのため、一定以上の所得にいくと個人事業主より法人のほうが税率は低くなります。
法人の税率が変化しなくなる所得額自体は800万円ですが、法人には「社会保険料」や「税理士に支払うお金」など個人事業主にはない出費があるため、それらを含めて考えると得をするのは課税所得が900万円を超えてからになります。
売上が1000万円を超えたタイミング
フリーランスが法人化するタイミングの2つ目は売上が1000万円を超えたときです。
現状、多くのフリーランス(個人事業主)は消費税の支払いが免除されているのですが、売上が1000万円を超えると消費税の支払いが義務付けられ、その2年後から支払いがスタートします。
しかし、法人化すると消費税の支払いが2年間免除されることになり、合計で4年間消費税を支払わなくてよくなるのです。
いきなり消費税を取られると困るという方はそのタイミングで法人化するのがおすすめです。
ただ、2023年10月から始まるインボイス制度の影響で売上が1000万円に到達していなくても、消費税を払えるようになりました。
その場合は売上が1000万円を超えたタイミングで法人化しても意味がないので注意しましょう。
▼インボイス制度について詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめ!
フリーランス(個人事業主)と法人の4つの違い
法人化するのにベストなタイミングをお伝えしましたが、正直なところ、まだピンときていないという方もいると思います。
そこで、ここからは実際に法人とフリーランス(個人事業主)がどう違うかを解説して、法人についての理解が進むようにしていきます。
社会的な信用度
フリーランス(個人事業者)と法人の違いについて、イメージしやすいのは社会的な信用度ではないでしょうか。
フリーランスをしているとクレジットカードが通らなかったり、賃貸が借りれなかったりと社会的信用度の低さを感じる場面も少なくないですよね。
しかし、法人になれば社会的信用度は一気に上がります。
クレジットカードや入居の審査が通りやすくなるのはもちろんのこと、銀行からの融資も受けやすくなる、採用活動がやりやすくなるといった効果がありますよ。
支払うべき税金
フリーランス(個人事業主)と法人では支払うべき税金も異なってきます。
フリーランスの支払うべき税金は所得税、消費税、住民税、個人事業税の4つ。
一方、法人は所得税の代わりに法人税を支払う必要があります。
フリーランス(個人事業主) | 法人 |
・所得税 ・消費税 ・住民税 ・個人事業税 | ・法人税 ・所得税 ・地方住民税 ・地方事業税 |
法人になると法人税とは別に、役員報酬としてもらう給与に所得税がかかってくるので注意しましょう!
課税所得に対する税率
先ほどお伝えしたように税率のかかり方もフリーランス(個人事業主)と法人では違います。
フリーランスに適応される所得税の場合、課税所得が上がっていくにつれて税率も上がっていく「所得割」という課税方式をとりますが、法人に適応される法人税はほとんど税率が変化しない「均等割」という課税方式をとります。
具体的に課税所得と税率の関係は次のようになります。
▼所得税と法人税の税率
課税所得 | 所得税率 | 課税所得 | 法人税率 |
〜195万 | 5% | 〜195万 | 15% |
195〜330万円 | 10% | 195〜330万円 | 15% |
330〜695万円 | 20% | 330〜695万円 | 15% |
695〜900万円 | 23% | 695〜800万円 | 15% |
900〜1800万円 | 33% | 800〜1800万円 | 23.9% |
1800〜4000万円 | 40% | 1800〜4000万円 | 23.9% |
4000万円〜 | 45% | 4000万円〜 | 23.9% |
参考1:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考2:国税庁「No.5759 法人税の税率」
必要な手続きとモノ
個人事業主と法人では必要な手続きとモノが大きく違います。
個人事業主になるには開業届を出せばよいだけですよね。
青色申告を希望するとしても「青色申告承認申請書」を提出するだけで済みます。
しかし、法人になる場合は会社を設立するための書類を用意したり、取引先に法人化することを伝えたりする必要があるのです。
個人事業主と同じ感覚で法人化しようとして痛い目をみる人がたくさんいるので注意が必要です!
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フリーランスが法人化するメリット
法人化するか悩む原因としてどんなメリット・デメリットがあるかわからないという方もいると思います。
そこで、ここからは法人化するメリットとデメリットをお伝えしていきます。まず、お伝えするのはメリットです。
稼げば稼ぐほどお得になる
フリーランス(個人事業主)が課税所得によってどんどん税率も上がっていくのに対して、法人は800万円を超えると税率が変わらなくなります。
そのため、フリーランスのときのように「稼いだつもりだったけど、あんまり収入増えてないな」ということが起こりません。
稼げば稼ぐほど入ってくるお金が増えるので、仕事をするモチベーションも維持しやすいですよ。
役員報酬として給与がもらえ、経費になる
法人化すると自分の給与を役員報酬として出せるようになります。
役員報酬のよいところは、経費になるというところ。
給与を出すことが節税につながるのは大きな魅力ですよね。
もちろん、経費になるからといって必要以上に給与を上げるのはNG。
売上や事業規模によって決めましょう。
退職金を用意できるようになる
退職金が用意できるようになるのも法人化のメリットです。
フリーランスは退職金がありません。
代わりに、小規模企業共済金と呼ばれる制度がありますが、小規模企業共済金は退職金と違い、元本割れ(返ってくるお金が、積み立てたお金以下になること)のリスクがあります。
一方、法人になれば退職金を用意できるようになり、リスクなく老後の資金を用意できます。
経費になるものが増える
法人化すると個人事業主にはできなかったものを経費にできます。
社員との旅行を福利厚生にできますし、住んでいるところも社宅にしてしまえば経費にできます。
ただ、むやみやたらに経費にすると脱税になってしまうので、経理について学ぶか、税理士を雇って正しく節税しましょう。
赤字を穴埋めできる期間が伸びる
個人事業主で青色申告をすると赤字ができても3年間で出た利益で穴埋めできますよね。
その期間が法人であれば10年になります。
資金調達によって大きな赤字が出てしまったとしても、長期間に渡って返していけるのです。
赤字額が多く、穴埋めしきれなかったということがなくなります。
社会保障に入れる
フリーランスのデメリットとして、厚生年金に入れないことがありますよね。
厚生年金ならおよそ14万円の年金をもらえるのに、国民年金ではおよそ5万円。
この年金の少なさはフリーランスである大きなデメリットですよね。
しかし、法人化すれば社会保障として厚生年金に加入できます。
退職金と合わせれば、老後の準備が十分にできます。
決済の時期が自由になる
フリーランスの決算は毎年12月と決められていますよね。
忘年会や新年の準備で忙しい時期に決算が重なって、苦労した方もいるのではないでしょうか。
しかし、法人になればその心配もいりません。
法人は好きな時期に決算ができるからです。
フリーランスのときとはうってかわって、比較的に余裕のあるときに決算ができるようになりますよ。
負債が個人のものではなくなる
事業をすることで発生した負債が個人のものではなくなるのも法人化のメリットです。
フリーランスの場合、返済できなかったときの負債は、全て自分に「支払い責任」があります。
しかし、法人化してしまえば、負債は法人のものなので個人に「支払い責任」がいくことはありません。
ただし、借入金の連帯保証人になっている場合は別です。その場合は支払いの義務が生じます。
フリーランスが法人化するデメリット
フリーランスが法人化するのにはたくさんのメリットがありますが、もちろんその分デメリットもあります。
デメリットを知っていないと法人化してから後悔することになるので、法人化を検討している方こそ、しっかり把握しておきましょう。
法人化の手続きに時間とお金がかかる
先ほどもお伝えしましたが、法人化の手続きには多くの手間と時間がかかります。
また、開業するときとは違い、法人化にはお金がかかるのです。
さらに、手続きが難しいのでほとんどの場合で税理士、司法書士の方に手続きを依頼するのですが、そのときにも依頼料として数十万円かかります。
赤字でも納税しなければいけない
個人事業主の場合、赤字であれば住民税の支払いは免除されるのですが、法人になるとそうはいきません。
課税方式が均等割の法人は赤字でも納税しなければいけないのです。
納税額は約7万円と大きな金額ではありませんが、赤字のときに出費があるのはかなり痛いですよね。
社会保険料がかかる
法人になるメリットとして社会保険に入れるとお伝えしました。
厚生年金に加入でき、老後の年金が増えるのはメリットですが、一方でそれは社会保険料を支払う義務が生じたということでもあります。
しかも、社員を雇っている方は、社員の保険料も支払う必要が出てきます(会社が保険料の半分を負担する必要があります)。
単純に個人事業主では支払わなくてよかったものを支払わなければいけないことや、面倒な手続きが増えることを考えると法人化のデメリットだといえますよね。
経理がより面倒になりお金がかかる
法人化すると会計や税金の取り扱いがより面倒になります。
青色申告の帳簿付けも面倒ですが、法人の会計や税務はそれよりも難しくなります。
自分1人でもできないことはありませんが、時間と手間がかかるのは間違いありません。
公認会計士や税理士の人に経理を依頼する場合もお金がかかるので、会社にとっては大きな負担になります。
フリーランスが法人化するためにすべき7つのこと
法人化したいけれど、どんなことをすればよいかわからないという方もいると思います。
そのため、ここからはフリーランスが法人化するためにすべきことを順番に解説していきますね。
設立のための必要書類を揃える
まずは法人を設立するための書類を揃えましょう。必要な書類は以下の通りです。
- 定款
- 印鑑届書
- 設立登記申請書
- 取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 出資金の払込証明書
- 登録免許税納付用台紙
- 代表取締役の就任承諾書
- 発起人決定書(発起人議事録)
- 登記すべき事項を記録・保存した記録媒体(CD-Rなど)
このなかでも、時間がかかるのが「定款」の作成。
「定款」とは会社の基本情報や会社の規則を載せた、いわばルールブックです。
勉強すれば誰でも作れるのですが、時間がかかりますし、作成ソフトを導入するとお金もかかってしまいます。
司法書士に依頼する方法もあるので、作成にかかる労力と費用を比較して検討しましょう。
法人設立の申請をする
書類を作成できたら、申請に向かいましょう。
個人事業主が開業届を出すのは税務署でしたが、法人設立の申請書類は法務局に提出する必要があります。
提出には次の方法があります。
- 所在地を管轄している法務局に行って提出する
- 所在地を管轄している法務局に郵送で送る
- 「登記・供託ネット」から法務局に提出する
申請した書類に間違いがないか心配な方は、直接法務局に行って書類を確認してもらうのがおすすめです。
特に心配がないという方は郵送やオンラインでも十分申請できますよ。
だいたい1週間から10日で登録が完了しますが、連絡はあるわけではないので、修正依頼がなければ登録されたと思って大丈夫です。
新しく口座を開設する
登記の登録が完了したら法人用の口座を開設しましょう。
個人事業主でも事業用の口座を持つことがおすすめされますが、法人の場合はより口座を分けるのが重要になってきます。
法人のお金と個人のお金にはっきりした区分があり、それらを混ぜてしまうと脱税を疑われてしまうからです。
口座を作るときには以下のものが必要になります。
- 定款
- 会社の実印
- 銀行用の印鑑
- 登記事項証明書
- 代表取締役の印鑑証明書
- 株主(資本出身者)の名簿
- 青色申告承認申請書の控え
銀行に行く人の身分証明書を求められることもあるので、身分証明書は持っていきましょう。
口座開設の手続き自体はそれほど難しくないのですが、審査が通るかはまた別の問題です。
フリーランス時代から使っている銀行を利用したり、事業内容や事業計画について話せるように準備したりするのをおすすめします。
取引先に一報を入れる
法人化したときには取引先に一方を入れるのがマナーです。
取引先があとから法人化したことを知ると「礼儀がなっていない」と思われ、信用を失ってしまいます。
事業を拡大するためにした法人化が逆効果になってしまうので、必ず法人化したとの一報を入れておくようにしましょう。
法人化を伝えるときは手紙を使用することが多いです。
なぜ法人化したのかを簡単に書き、旧社名と新社名を書きましょう。
新しく開設した銀行も載せておくと丁寧ですよ。
3ヶ月以内に役員報酬を決める
法人を設立してから3ヶ月以内に役員報酬を設定しなければいけません。
役員報酬の難しいのは、次年度まで変更ができないところ。
役員報酬の額に決まりはないのですが、あまりに高く設定してしまうと売上が思うように伸びなかったときに自分の首を絞めることになってしまいます。
昨年の売上をもとにどれくらいの金額なら会社の経営が傾かないか考えることが大切です。
公的機関に設立の届出を出す
登記申請が完了しても正式に法人になったわけではありません。
法人としての設立を完了させるために、いくつかの公的機関に書類を提出しましょう。
- 法人設立届出書
- 開業・廃業等届出書
- 青色申告の承認申請書
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 法人設立等申告書
- 事業開始等申告書(東京都のみ)
作業自体はそれほど難しくありませんが、とにかく数が多く面倒です。
1人で抱え込もうとせず、わからないことが出てきたらこまめに司法書士や税理士の人に相談するのをおすすめします。
また、提出書類によって期限が異なります。
提出漏れがないように、期限つきのチェックリストを作っておきましょう。
社会保障の手続きをする
法人化をしたら社会保障の手続きをする必要があります。
国民健康保険と厚生年金はもちろんのこと、従業員を雇う場合は労働保険、雇用保険にも入る必要があります。
提出場所と提出書類は次のようになります。
- 新規適用事業所現況書
- 健康保険、厚生年金保険新規適用届
- 健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届
- 新規適用事業所現況書
- 健康保険、厚生年金保険新規適用届
- 健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
注意しなければいけないのは労働保険と雇用保険の順番です。
雇用保険は労働保険に加入したあとでないと手続きができないので、先に労働保険に加入するようにしましょう。
労働保険は従業員を雇ってから10日以内に申請する必要があります。
他の書類よりも期限が短いので遅れないようにしてくださいね。
まとめ
今回はフリーランスの法人化について「法人化のベストタイミング」「法人化のメリット」「法人化の方法」をお伝えしてきました。
確認の意味を込めてそれぞれをもう一度お伝えしますね。
- 課税所得が900万円を超えたとき
- 売上が1000万円を超えたとき
- 稼げば稼ぐほどお得になる
- 役員報酬が経費になる
- 経費になるものが増える
- 赤字を埋められる期間が伸びる
- 社会保障に入れる
- 決済の時期が自由になる
- 負債が個人のものではなくなる
- 設立登記のための必要書類を揃える
- 設立登記の申請をする
- 事業用の口座を開設する
- 取引先に一報を入れる
- 3ヶ月以内に役員報酬を決める
- 公的機関に設立の届出を出す
- 社会保険の手続きをする
これらのことを参考にして、法人化するかを決めたり、法人の手続きをしたりしてくださいね。
法人化はビジネスマンとしてのステージを変える大きな決断です。
ぜひ、既に法人化している人の話を聞いたり、専門家の意見を聞いたりして慎重に決めてくださいね。
そして、この記事があなたが法人化するうえでの少しでも手助けになっていれば嬉しいです。
参考サイト:東京にある会社設立を専門とした税理士法人
質問や感想があればご記入ください